2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04486
|
Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Medical Center (Clinical Institute) |
Principal Investigator |
山本 政弘 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (10220500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 麻理子 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 心理療法士 (00569840)
天野 昌太郎 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 常勤臨床心理士 (60576411)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 若年性認知症 / 日本版ウェクスラー成人知能検査 / HIV感染症 / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、若年性認知症施策にて取り上げられてこなかったHIV感染症の認知機能低下について取り組んでいる。HIV感染症と認知機能の関連については、アメリカの先行研究では、患者の20%~54%に認知機能障害があることも報告されている。本研究では、日本におけるHIV感染症の認知機能低下の疫学およびHIV関連神経認知障害の鑑別診断である気分障害、物質使用歴との比較を行い、特徴を明らかにすることを目的としている。研究に当たっては、標準化された神経心理学的検査である日本版ウェクスラー成人知能検査を採用することで研究結果がより広く社会に還元されるよう努める。 研究対象となるデータは、研究以前に通常の診療範囲内で実施された内容を診療録から収集する後方観察研究とする。各研究施設からは、日本版ウェクスラー成人知能検査、生理学的検査、画像診断所見、生活歴等がプライバシーに厳重に配慮した手続きによって研究代表施設に報告する。これらの情報を基に、HIV感染症と認知機能低下の関係、HIV感染症と対象精神疾患との共通点・相違点の検討を行う。 研究2年目である平成30年度は、HIV感染症患者に対して国内で日本版ウェクスラー検査を最多実施施設の一つである主任研究施設症例に関して分析を行った。結果は対象者の平均年齢は41.2歳と若年であるが23%に認知機能の低下を認め、これらは欧米などの複数の先行研究と一致する結果となった。認知機能の低下がある患者は、受診中断や内服中断をする傾向も認め、加療への影響と認知症悪化のリスクが予見された。また37%に精神疾患歴を認め、精神疾患の有無が認知機能低下とも関連していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録については、HIV感染症が当初計画を達成、精神疾患にて56症例(93%)達成し、HIV感染症に関しての中間発表を関連学会にて報告したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はすべての対象患者の患者登録を完了し、中間報告の再検証と共に総合的解析を開始する。分析結果は関連学会等で発表を行い、広く国民に還元できるよう努める。解析は、認知機能の低下率と疾患並びに項目による違いを解析し、アルツハイマー型認知症および早期認知症の傾向との比較を行い、その共通点・相違点を評価する。治療への影響も考究する。 気分障害、物質使用歴に関しては、気分障害の重症度および使用物質による解析を行い、疾患毎の特徴の把握に努める。アルツハイマー型認知症および早期認知症は気分障害の除外診断が必要となるため、共通点・相違点を評価する。 上記すべての評価は、研究協力者との合議による適正な評価に努める。
|