2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病者のライフサイクル課題と療養指導教育プログラムの構築
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17K04487
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Research Institution | 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所) |
Principal Investigator |
東山 弘子 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 医学教育研究部, 部長 (20071160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 裕 株式会社関西メディカルネット(関西電力医学研究所), 関西電力医学研究所, 所長 (40030986)
石原 宏 佛教大学, 教育学部, 准教授 (40378500)
黒田 恭史 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70309079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病患者の心理的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者は、健康な人よりもストレスが低く、ウェルビーイングが低い(p<001)ウェルビーイングは自己肯定感、内的充実感、しあわせ感、活き活きと生きている感覚などの総称であり、糖尿病患者は、自己肯定感に低く、内的充実感や、しあわせ感に満たされているとは言えず、活き活きと今を生きている感覚に乏しいことがわかった。従来糖尿病は「ストレスの高い病であり、うつとの関係が深い」とされてきたが、今回の結果は必ずしも一致するとは言えない。筆者の先行研究において糖尿病患者は、「糖尿病の無い健康な生活をおくる自己像」を理想像とし、そこへの回帰を希求し、現在の自分について「病者と自己像」とは一致させていない。 すなわち、今の自分は、“仮”であって、健康を回復し、糖尿病になる以前の生活に返ることを願っており、「糖尿病を抱えて生きる自己像」という発想はどこか自分にフィットしない。そのため、現実的に身体的や不都合な生活を意識したり自覚しない。病者であることによるストレスを無意識のうちに感じないように逃避的になるという心理が働いているに違いなく、まさに「神経病的不適応」状態にあるといわざるを得ない。ストレスの低さは、実際にストレスが無いというより強烈なストレスが無いゆえに、防御機制によってまだ病者ではなく「健康の範疇」に居る自己像に固執すると解釈することができる。と考えられる。糖尿病のストレスは、強いが無意識的にそれを確立し防衛するがために質問に対してはごく自然に「低い」と答えるように思われる。この二立性を解決するには、投影法などもう少し深みを読み取ることの出来る心理テストが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題 現在、リテストを実施中で6箇月間にHbA1cの改善をみる患者も多いので改善に貢献する心理的要因を抽出しうるかもしれない。また長期的に亘る事例研究によって深層心理学的に糖尿病患者の心理構造を明らかにできる可能性があるので、これらの探求を今後の課題としたい。
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