2018 Fiscal Year Research-status Report
Effects of visual and auditory stimuli on motion perception: A magnetencephalogram study
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17K04490
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
今井 章 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (80211754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (10366403)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動視 / 脳磁図 / 仮現運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,運動視成立時の脳磁図(MEG)を取得し,空間視経路と物体視経路の両賦活と,さらにその分離された情報の統合について,多感覚的に検討することを目的とした。 平成30年度では,両眼立体視により視覚刺激を3次元的(3D条件)に提示し,2次元的(2D条件)に提示する条件と比較した。両条件下で,①運動が最適に知覚できる最適試行1,②持続時間が最適試行1より長い最適試行2,および③2刺激が同時に提示される同時試行の3種類の試行を用意した。刺激提示は,モニター中央の凝視点から左右5.09度離れたどちらかの周辺部から中央の凝視点直下に提示する場合と,中央部から周辺部に提示する場合とを設定した。周辺部へは視覚0.76度の大きさで,中心部へは2.29度で提示した。 健常成人の実験協力者23名に対して,3D条件と2D条件をランダムに提示した。それぞれの提示条件では,①から③の3種類の試行と左右周辺から中央,中央から左右周辺,という2種類の提示方向があり,計6種類の提示試行をランダムに出現させた。この6種類の提示試行は,それぞれが最低でも80回のMEG加算平均波形が得られるまで繰り返された。こうして得られた事象関連場から電源推定を行い,下・中・上後頭回,下・上頭頂小葉,中心後回,中心前回,下・中・上側頭回,下前頭葉眼窩部,下前頭葉弁蓋部,中前頭回,上前頭回背側部などの活動を分析した。 その結果,運動感が生ずる最適条件と運動感が生じない同時条件とが,上後頭回などの一次視覚野における賦活化の差異を示し,この部位においてすでに運動感の処理が行われていることが示唆された。さらにこの賦活化の違いは,中心後回,中心前回,中側頭回,下前頭葉弁蓋部,上前頭回背側部などへ伝えられていく可能性も示された。一方,立体視の違いによる賦活化の差異は明瞭ではなかった。今後,部位間の比較を組織的に行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度中に,ほぼ当初の計画通りに実験を実施することができ,これまでに23名の実験協力者から脳磁図の計測データを得ることができた。データの解析については現在,進行中であるが6月中には終了させる予定である。その後は,分析結果を吟味しつつ順次,まとめて公表していく予定である。 上記のデータ解析と並行して,次年度においては,視覚刺激に加えて聴覚刺激を複合的に提示する条件を設定して実験を行う予定であり,そのための準備はすでに整えつつある。視覚刺激と聴覚刺激の提示条件についても確定しており,8月から視聴覚複合刺激事態におけるMEG実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では引き続き,立体視が成立する3D条件と,立体視が成立しない2D条件とを設定し,運動感が得られる視覚的物体の提示によるMEG応答を測定するが,この条件に聴覚刺激を提示して,視聴覚複合事態におけるMEGを測定する。 これまでと同様,①仮現運動と②非運動条件という2条件に,3D条件と2D条件,さらに,聴覚刺激を左右耳に提示する際,視覚刺激の運動方向と一致する条件と,不一致な条件とを設定する。これらを組合せ,運動条件(運動/非運動)×立体視条件(3D/2D)×聴覚刺激条件(一致/不一致)の8条件下においていMEGを計測する。その際,予備的に音刺激のみの条件下においてもMEG測定を行い,この条件における「運動感」が脳のどの領域を活性化させるかを統制条件とみなし,視覚聴覚複合事態における脳活動を評価する。 以上のような条件下で実験データの蓄積を行い,得られた知見を逐次まとめて公表する。
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Causes of Carryover |
平成30年度は,ほぼ予定通りの使用計画に沿って予算執行を行ったが,調整額が若干,残ったため次年度への繰り越しとした。少額であるため,2019年度に充分,執行できる範囲である。 具体的には,次年度使用額と2019年度請求分とを合わせ,MEG実験において使用する音刺激の作成と提示に係わる機材と消耗品,ソフトウェアの購入などや,成果発表のための学会大会参加の旅費,および英語論文校閲費用などに使用する。
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Research Products
(3 results)