2017 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative and qualitative study on the effect of motivation in unfamiliar face identification
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17K04491
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北神 慎司 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00359879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔の識別 / 動機づけ / 未知顔 / 個人識別 / 二次的報酬 / 金銭的報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族や友人などの既知顔に比べて,まったく出会ったことのない未知顔は,その記憶だけでなく,記憶を必要としない知覚的な識別においても,著しく正確性に劣る.このような研究知見に反して,我々の社会生活には,パスポートや免許証など,顔写真を用いた個人識別が浸透している.そこで,本研究では,さまざまな認知課題のパフォーマンスを向上させることが明らかとなっている「動機づけ」の効果に焦点を当て,動機づけを高めることによって,顔画像による個人識別の正確性がそもそも改善されうるのか,また,改善されるとすれば,そのプロセスやメカニズムはどのようなものかを明らかにすることを目的とする. 研究初年度である平成29年度は,まず,顔照合課題で用いる刺激画像の選定を行った.具体的には,男女各48名のモノクロ顔写真から,各同性同士の「真顔」と「怒り顔」の24ペア(計48ペア)を作成した.なお,人物の異同判断を行うために,ペアの半数は同じ人物のペア(match試行),残り半分は異なる人物のペア(mismatch試行)を作成した.これらの刺激を用いて,一時的報酬(お菓子)が未知顔の識別成績を向上させることを示したMoore and Johnston (2013)の研究を参考として,本研究では,二次的報酬(金銭的報酬)が未知顔の識別に影響を及ぼしうるかを検討した.実験の結果,課題全体の成績水準が高く,識別の正確性においては報酬の効果は示されなかったものの,反応時間においては報酬の効果が示された.具体的には,特に,mismatch試行において,報酬の提示(予期)が反応時間を増大させるという結果が示された.つまり,異なる人物が提示される試行においては,報酬の存在は,実験参加者に,より慎重な判断を促す可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記述したように,研究計画初年度として,当初の計画通りの実験を実施したため,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験において,識別の正確性において,全体的な課題成績が高かったため,おそらく天井効果によって,有意な検定結果が得られなかったと考えられる.そこで,課題の難易度の調整をはじめ,もう一度,実験方法を中心に,その原因の洗い出しおよび改善を行い,まずは,追試的実験を行う.その後で,当初の計画通り,研究計画2年目に予定している実験を行う.なお,これらの実験において,万が一,実験条件や手続きの設定に不備が見つかった場合には,途中で実験を中止し,当該部分を改善した後,新たにデータを取り直すこととする.
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