2019 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative and qualitative study on the effect of motivation in unfamiliar face identification
Project/Area Number |
17K04491
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北神 慎司 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (00359879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顔の識別 / 動機づけ / 未知顔 / 個人識別 / 達成目標理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族や友人などの既知顔(familiar faces)に比べて,まったく出会ったことのない未知顔(unfamiliar)は,たとえば,再認記憶課題を用いた場合,著しく記憶成績が劣ることが古くから知られている.さらに,たとえば,2枚の顔写真を提示して同一人物かどうかを判断するような,記憶を必要としない知覚的な識別課題においても,上記と同様,未知顔の識別成績は著しく劣ることが知られている.そこで,本研究では,さまざまな認知課題のパフォーマンスを向上させることが明らかとなっている「動機づけ」の効果に焦点を当て,動機づけを高めることによって,顔画像による個人識別の正確性がそもそも改善されうるのか,また,改善されるとすれば,そのプロセスやメカニズムはどのようなものかを明らかにすることを目的とする. 前年度までの実験では,動機づけとして二次的報酬に分類される金銭的報酬が顔照合課題(2つの顔画像の異同判断を行う課題)の成績に影響を及ぼすかを検討したが,研究3年目である平成31年度(令和元年度)では,達成目標理論に基づき,顔照合課題を行う前の達成目標に関する教示の違いによって顔照合課題の成績にどのような効果があるかを検討した.具体的には,課題を習得し,能力を高めることを目標とする「習得目標群」,自分に対し自分の能力の高さを示し,悪い評価を避けることを目標とする「遂行目標群」と,特に教示を行わない「統制群」の3群を設定して,顔照合課題を実施した.その結果,識別の正確性および反応時間において群間に差は見られず,達成目標の教示の効果が示されなかった.このような結果がもたらされた原因として,特に,「教示の効果の弱さ」が挙げられる.したがって,今後の課題は,教示文の見直しだけでなく,特性論的なアプローチ,つまり,個人差変数として達成目標を操作するような実験を行う必要があると考えられる.
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