2018 Fiscal Year Research-status Report
神経伝達物質の直接計測に基づく視覚的注意の脳機能モデル構築
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17K04494
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木原 健 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (30379044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30322241)
近藤 洋史 中京大学, 心理学部, 教授 (30396171)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 聴覚的注意 / 神経伝達物質 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、視覚的注意に着目し、その神経機序の解明を目的としている。特に、視覚的注意の時間的な制御は大脳前頭・頭頂領域が重要な役割を果たしていることが、担当者らの研究を始め多くの研究から示唆されている。しかし、それらの領域の神経活動の化学的基盤である神経伝達物質がどのような役割を果たしているのかについては、まだ研究は進んでいない。これに関して、担当者らは最近、前頭・頭頂領域において、特にGABA濃度が視覚的注意の時間的な切り替え制御に関係していることを報告した。そこで、この知見を発展させ、時間的側面を拡張させた包括的な視覚的注意の脳機能モデルの構築を目指し、研究を進めている。 1年目である昨年度は、研究目的を達成するための行動実験として、注意の切り替えが不要だが一定時間注意を維持しなければならないGo-NoGo課題の改良版である、gradual-onset continuous performance task(gradCPT)を検証し、研究目的に適していることを確認した。この結果に基づき、2年目である本年度は、gradCPTを用いて予備的な神経伝達物質測定実験を実施し、核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)でgradCPT課題を利用した際に生じる問題点を洗い出した。また、持続的注意制御に関わる認知的・神経的処理機序の視覚的側面と聴覚的側面を比較検証するために、聴覚的なgradCPTを新たに構築して、データを収集、解析した。その結果、視聴覚課題間でほぼ類似した行動成績が得られることを確認した。さらに、視覚的gradCPTの計測に必要な課題時間を検証する実験を行った。その結果、通常の課題時間である8分間とそれを短縮した2分間では、課題成績は高い相関を示すことを明らかにした。加えて、奥行き知覚に関わる視覚的注意の新たな役割を明らかにし、研究への利用可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、本年度はMRS計測を実施しデータ収集を完了する見込みであった。計画時には想定できなかったMRS計測の問題点が明らかとなったが、実験データの大半を収集できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初より余裕を持った研究計画としていた。また、MRS計測の問題点を解決してデータ収集を完了できる見込みが立っている。そのため、今後の研究期間でMRS計測を完了させて、視覚的注意の包括的な脳処理モデルを構築できると考えている。
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Causes of Carryover |
MRS計測実験の際に、当初に想定していなかった問題が発生し、実験実施数が減少したため。問題解決の目処が立っているため、実施できなかった実験は次年度に繰り越して実施する計画である。
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Research Products
(7 results)