2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K04496
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
花田 光彦 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80323385)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オノマトペ / 擬態語 / 触覚 / 布 / 食感 / 対応分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,オノマトペを用いて,布の肌触りの知覚空間についての検討と食感のオノマトペの音韻的分析を行った. 布の肌触りについての実験を実施し,布とオノマトペの対応関係について検討した.被験者には,布を手で触ってもらい,その表情に相応しいオノマトペを回答してもらった.また,セマンティック・ディファレンシャル法の尺度を使って,「摩擦感」「温度感」などについても評定してもらった.オノマトペについての回答から,オノマトペ×布の分割表に対して対応分析を行った.得られた布置に対して,座標値がスパースになるように回転し,布の肌触りの知覚的な次元3次元を得た,一次元目は,厚さ・柔らかさに関係する「ふかふか感」の次元,二次元目は,摩擦感に主に関係する「すべすべ―ごわごわ感」の次元,3次元目は柔らかさ・伸縮性に関係する「のびのび感」の次元と解釈することができた. 食べ物の画像から,その食感に相応しいオノマトペを回答するとデータと,食べ物の好き嫌いの程度を回答するとデータを合わせて分析し,食感の好き嫌いと,食感を表現する音韻との関係性について分析した.第一子音の/n/,/b/,/p/,第一母音の/e/などが嫌いな食感,第一子音の/z/,/t/,/h/,第二母音の/u/などが好きな食感に結びついていることが分かった.触覚では,/z/が不快さを象徴しているといわれているのに対し,食感では好きということに関係していることなど,触覚オノマトペと食感オノマトペでは音象徴に違いがあることが明らかにされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な感覚モダリティのオノマトペを検討するという目的については,現在のところ,視覚的な表情知覚,痛覚に加え,食感や触覚などのモダリティに関係するオノマトペについて検討し,オノマトペが表現する知覚・心理空間を推定することができた.また,触覚と食感に関するオノマトペの音象徴の比較し,共通点・相違点も示すことができた.よって,当初の予定通り,進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
音声・心理状態とオノマトペとの対応関係データを収集する.具体的には,音声に関しては実験,心理状態に関しては質問紙調査を実施し,相応しいオノマトペを回答するという形式で,オノマトペとの対応関係のデータを収集する.そのデータに対して,対応分析を実施し,さらに,座標値がスパースになるように,機械学習の手法などを用いて回転を行う.それにより,知覚・心理次元の推定を行う.さらに,オノマトペにより,異なる対象から得られた知覚次元を比べることにより,日本語オノマトペの音象徴の特徴を検討する.
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Causes of Carryover |
購入予定の有機ELモニターの納入が遅れたため,次年度に購入することとした.
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