2021 Fiscal Year Annual Research Report
The absolute size perception within the peri-personal space.
Project/Area Number |
17K04504
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
實吉 綾子 帝京大学, 文学部, 准教授 (90459389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道又 爾 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00229733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体近傍空間 / 身体拡張 / 大きさ知覚 / 自閉スペクトラム症 / 注意の異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、"手の届く範囲(身体近傍空間)”の知覚特性(視覚対象の絶対的な大きさ知覚など)を検討するものである。身体近傍空間内外に刺激を提示しその大きさを報告する課題を用いて実験を行った。その結果、手を見ずに指の開きで刺激の大きさを示す報告では刺激の位置に関わらず絶対的な大きさが正確に知覚された。一方意識を伴う報告条件(手を見ながら報告、言語で報告)では、身体近傍空間かどうかによらず大きさが過小評価される傾向にあり、大きさの恒常性が働いたものと考察された。 身体近傍空間は道具の使用に習熟することで、道具が届く範囲まで拡張することが報告されている。そこで木製の道具を用いて道具の先で対象を動かす訓練の後、視覚刺激の検出課題を行う実験を行った。その結果、手の近傍空間において認められる刺激の検出力向上範囲が、習熟後は手から道具の先に移動することを確認した。 左視野の過大視などの注意の異方性は身体近傍空間外では消失することが報告されている。そこで身体近傍空間を延長する要素を操作し線分二等分課題を用いて検討した。その結果、指示棒やレーザーを可視化したレーザーポインタを把持すると遠方空間でも左側の過大視が消失しなかった。これは近傍空間が物理的な情報のみならず視覚的な延長によっても拡張することを示している。 身体近傍空間の知覚・認知について自閉スペクトラム症者(ASD者)を対象とする研究も実施した。ASD者は物にぶつかりやすい、他者との距離の感覚が異なるという訴えがある。そこで、身体近傍空間の把握の正確性と、身体近傍空間の注意の向上について検討を行なった。その結果ASD者は遠方から近づいてくる刺激に対して手の届くかどうかの推定が非ASD者より不正確なことが示された。また身体近傍空間の刺激検出促進がASD者では認められなかった。2021年度はASD者のデータを追加し、各研究の論文執筆を行なった。
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