2020 Fiscal Year Research-status Report
時間と質感の接点-質感によって符号化される多感覚情報の時間ずれについての検討-
Project/Area Number |
17K04514
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
藤崎 和香 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20509509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多感覚知覚 / 時間知覚 / 質感知覚 / マルチモダリティ / 映像と音声 / 同時性判断 / 感覚フィードバック / 時間ずれ |
Outline of Annual Research Achievements |
質感は空間や時間とともに感覚モダリティをまたぐように存在する。感覚モダリティをまたぐように存在する情報は異なる感覚間をつなぐ重要な手がかりとなるだけでなく、感覚統合の結果としてまた新たな知覚体験を生起させる。本研究はこれまで個別に研究されてきた時間知覚と質感知覚の関係性を多感覚統合の観点から明らかにすることを目的とする。具体的には感覚モダリティをまたがった情報間の時間ずれが、直接同時性や同期性を訊くと識別できない場合であっても、質感知覚として符号化されると識別できる場合について、その符号化のメカニズムや情報処理の階層性を解明することを目指す。今年度は昨年度に引き続き、楽器演奏(ドラム)とダンス(ヒップホップ)について、時間ずれと質感知覚の関係性を調べるオンライン調査を行った。その結果、被験者が映像と音の時間のずれに気づかない場合でも、違和感を感じたり、演奏者・ダンサーのパフォーマンスへの印象に変化が生じる場合があることが示された。具体的には特に「正確性」と「好ましさ」の評価に、映像と音の時間ずれが大きく影響することが明らかになった。新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言等の影響で対面での実験実施が叶わなかったが、オンライン調査に切り替えて、おおまかな状況が捉えられたことは大きな進捗であった。その他に、日本音響学会誌の小特集‐音にかかわる多感覚統合の世界‐に「多感覚が捉える世界」というレビュー論文を執筆するなどした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の移転が完了し実験室の整備ができたのが年度末であったことと、Covid-19の影響が強くあったことで、本格的な対面での実験実施が叶わなかった。一方でオンラインでの調査に切り替えて研究を実施したことで、新たな発見が得られ、進捗の遅れを別な形で取り戻せた部分もあった。トータルとしては、やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室については移転が完了し整備ができたので、今後、Covid-19の状況を見ながら、感染防止対策を徹底したうえで、対面での実験を再開していければと思っている。また対面での実験が再開できなかった場合に備えてオンライン調査を拡充するなど、別の方法で代替できることは代替し、柔軟に対応していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響で対面での被験者実験が実施できなかった。次年度使用額は対面での実験実施に使用予定。
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Research Products
(1 results)