2017 Fiscal Year Research-status Report
専門職としての学習共同体を活性化・発展させる実践的研究リーダーの育成に関する考察
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17K04525
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田仲 誠祐 秋田大学, 教育学研究科, 准教授 (50760881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 和仁 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30335335)
浦野 弘 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (50185089)
佐藤 学 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90587304)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教師教育 / 校内研修 / 実践的研究リーダー / プロフェッショナル・ラーニング・コミュニティ / 学校文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チーム学校を効果的に機能させる一方策として、学校現場における研修体制及び方法の改善を提案するものである。①研究者教員と実務家教員との両者の視点を組み合わせ、小・中学校教育現場における実践的研究や研修をリードする教員(以下、実践的研究リーダーと記す)が校内において効果的に機能するための条件や特性を明らかにする、②その成果をもとに実践的研究リーダーの育成や効果的な校内の研修会の実施に資する、ことを目的とする。具体的には、次のような内容・計画で研究を進める。 ○研究協力校の実態調査:実践的研究リーダーが効果的に機能するプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティの基盤的要因を解明するために、資質・能力、学校組織文化、学校経営等に関する教員対象の質問紙調査、それを補完するための聞き取り調査を行う。その基礎資料を学校訪問から得られた実際の状況と合わせて、研究者の視点、実務家教員の視点で分析し、「実践的研究リーダーが効果的に機能するための基礎的要因」を具体的に把握すためのモデルを作成する ○教師集団との協働による研究の省察:研究協力校において、探究型授業(4台のカメラで記録)の実践、また、付箋紙を用いたワークショップ研修の実施(4台のミーティングカメラ・タブレットを利用)を通し、教師にとって「深い学び」の一つの契機として研修協議の緊張場面に焦点を当ててデータを収集する。その後、学校教員、研究者教員、実務家教員の三者による省察を通して、緊張場面の類型、効果的な緊張場面の創出・深化の方法の事例を蓄積する ○当該年度の成果を生かした、研究リーダー育成プランの見直し:「実践的研究リーダーが効果的に機能するための基礎的要因」及び「深い学びの契機」についての成果を踏まえ、教職大学院における「教育実践力の向上と秋田型共同研究システム」「学校組織文化の形成と機能」のシラバスの改善を行う
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○初年次は、本研究チームのメンバーが教員養成、秋田県の校内研修の充実に向けて取り組んできた成果を、論文2編(「学生の実践的課題を融合化、連続化するプロジェクト型模擬授業の試み」「「総合学習」の基となった工業科教育「課題研究」の実践的指導法に関する研究」)、著書1編(「若手教員がぐんぐん育つ 学力上位県のひみつ」)、学会発表等2回(「教員養成秋田モデル」の成果と課題」,「秋田型授業による実践知の継承・創造及び県境を越えた東北地区の協働を促す取組」)にまとめた。 ○実践的研究リーダーが効果的に機能するプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティの基盤的要因を解明するために、資質・能力、学校組織文化、学校経営等に関する教員対象の質問紙を作成し2校で予備調査を実施した。予備調査結果、回答協力者からのコメント等を参考に、内容等を数項目改善し、2年目の本調査を実施することにしている。 ○校内研修会における教師の「深い学び」についてのモデルを作成し、そのプロセス解明のために、小学校1校、中学校1校を継続的に調査し、研究協議会の模様をVTRに収集・蓄積した。課題としては、研究協議会の訪問校数、回数、分析に要する時間において、当初見込んでいた研究者の負担を大幅に超えていることである。2年目においては、訪問校数、回数を精査し、質的分析に重点を置き研究計画を見直して取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究協力地区として、秋田県の大仙市、美郷町、大潟村、藤里町に調査協力を依頼している。 ○実践的研究リーダーが効果的に機能するプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティの基盤的要因を探るための調査を、前年度の予備調査により項目等を改善した上で、小学校5校、中学校3校において7月に実施する予定である。調査結果を数量的に分析するとともに、それを補完するため、各校の管理職及び実践的研究リーダーからの聞き取り、実践的研究リーダーを対象としたキャリアシート調査等を併せて実施し、多面的に考察し今年度の中間報告にまとめる。 ○学校研修・授業研究の活性化・質的改善を進めるためにの実践的研究リーダーの特性、資質等、学校組織文化の特徴、管理職の役割の視点で、具体的に事例を収集する。学校訪問は、1日かがりの実施となるため、訪問回数を年間10回程度に絞って行う。今年度は、前年度の分析から、授業研究会における深い学びの契機となる「緊張場面」に焦点を当てて分析する。そのため、ワークショップ終了後の省察場面を中心に考察を進め、学校の教員、研究者、実務家教員の3つの視点を生かし、「緊張場面」の分類、類型化を中心に行う。 ○また、教員養成のカリキュラム開発に向けては、これまで実施してきた授業の現状と課題をまとめ、今年度も学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
カンファレンス用タブレットを6台購入予定であったが、今年度は性能を試行するため3台購入した。次年度さらに台数を加えて研究を進める予定である。また、ミーティングレコーダーについては、1台借用し使用してみたが、当初期待したほどの性能を発揮できなかったため、初年度はビデオカメラにデータを記録して研究を進めることとした。次年度は、録画機器を補充し、多面的に授業及び授業協議会を記録し分析を行う。また、2年目は、実務家教員も含め初年度よりも校内研究会に訪問する延べ人数が増加する予定であり、旅費も1年次に比べて大幅に増大することが予想される。
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Research Products
(5 results)