2021 Fiscal Year Research-status Report
保育者の実践を省察する力量形成過程とその要因の調査研究:園内研究会での語りの変容
Project/Area Number |
17K04536
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岸野 麻衣 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80452126)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保育者の力量 / 園内研究会 / 実践の省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,保育実践について語り合う園内研究会において,保育場面から何をどう見て取り出してどう語るかという保育者が実践を省察する力量の問題に焦点を当て,「保育を見る目・語る力」として概念化し,こうした力量を形成する背景の園内コミュニティや社会・文化・制度的文脈を明らかにしようとするものである。 本年度育児休業より復帰し,研究を再開した。これまでの対象園において,年間継続して園内研究会に参加し,参与しながら観察を行った。中断期間の状況について,各園で聴き取りも行い,中断期間中に園内研究会がどのように行われ,保育者の実践を省察する力量にどのように結びついていたかについても検討した。 中断期間中は,新型コロナウィルスのパンデミックが始まり何波にもわたってコロナ禍が続く最中と重なっていた。そのため対象園の多くが臨時休園となったり,園内研究会そのものが実施できなかったりする状況が続いていた。本年度も,特に園でクラスターが発生するケースが増えたこともあり,来園を中止せざるを得ないこともあった。各園では,場所や形態について感染予防対策を行いながら,オンライン等も活用し,できる範囲で園内研究会が行われる状況であった。対象園はこうしたコロナ禍に加え,大きな人事異動があった園も多かった。各園の事例分析を行った結果,園によって大きく異なっていた。これまでの園内研究会の形こそ継続していながら,グループの人数が増えて話題は拡散的になり,形骸化していった園もあれば,会を重ねるにつれて迷いや課題が率直に語り合われ,共により良い保育を模索するようになっていった園もあった。保育者の力量形成を支える園内研究会を持続させるには,園内研究会をコーディネートする保育者の役割意識や動き,管理職との関係性が大きく,保育者の力量形成を支えるコーディネーションについて協働体制を構築することが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児休業による中断を経て研究を再開し,本来ならば本年度が研究最終年度の予定であったが,コロナ禍が続く中,園への訪問に制限が生じ,データ収集が十分とはいえない状況があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,研究最終年度として,継続して対象園の園内研究会に参加しながら,引き続きデータ収集を行い,コロナ禍による制限で欠けたデータを補完しつつ,長期的な展開の中で,保育を見る目・語る力がどのように変容していくのかを検討し,研究のまとめを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続いたことにより,研究の分析補助に支障が生じたほか,予定していた国内・国際学会への参加ができず,次年度使用額が生じた。 次年度においては,データ収集の継続に必要な物品や消耗品,資料整理や分析補助の謝金,対面で学会が開催された場合には学会への参加旅費等に使用する計画である。
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