2022 Fiscal Year Annual Research Report
Japan's Curriculum Administration at the Crossroads
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17K04539
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
磯田 文雄 花園大学, 文学部, 教授 (60745488)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 権力の集中 / 分担管理原則 / 公共財としての教育 / グローバル経済 / キーコンピテンシ / 研究開発学校 / 豊かな経験 / 省察性 |
Outline of Annual Research Achievements |
教育行政過程の変容の背景と経緯及びその影響については、令和2年度までに、分担管理原則の崩壊、権力の集中とその空洞化、既成事実への屈伏が生じていることを解明した。権力は首相官邸及び内閣官房に集中しているが、分担管理原則が崩壊し、各省庁が有する専門性が機能せず、権力の中枢は空洞化している。一部の無頼漢による既成事実への屈伏が生じているのが現状である。教育課程行政におけるその具体的な実例として、令和3年度研究開発学校の研究課題を分析し、令和4年7月の日本カリキュラム学会で発表した。 この状況から脱却し教育行政を改革する方途を、令和3年度から、財政学と行政法学の二つの視点から検討を始めた。財政学の視点からは、教育を社会的共通資本と位置付け、政府及び市場とは異なる公共財を担当する政府を構築し、其の政府において、公共財として教育行政を運営する。行政法学の視点からは、近代国家基本原理に基づき行政を再構成し、①学問の自由、大学の自治、地方自治等他の憲法原理が機能する部分、②公益を実現する私的主体による活動部分に焦点を当て、学校教育及びカリキュラムに係る行政をどの部分に位置づけどのような原理をあてはめるかを検討している。 この検討の過程において、新型コロナウイルスのパンデミック及びロシアのウクライナ侵攻が起こり、グローバル経済が大幅な修正を受けている。その結果として、キーコンピテンシーの経済的、政治的基盤が崩壊した。現在、キーコンピテンシーを超えた次の教育課程の創造が急務となっている。 一方、香川大学教育学部附属高松小学校との共同研究では、令和4年度から研究開発学校の指定を得、経験から新たな知や価値をつくる教育課程に関する研究開発を進めている。また、令和5年度からは、同附属高松中学校との共同研究で、「省察性と知性により新たな価値を創造する」ことを目的とした新たな教育課程を開発している。
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