2019 Fiscal Year Annual Research Report
A sociological study of immigrants ritual in elementary school in Japan
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17K04548
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
森 みどり (高松みどり) 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (20626478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 儀礼 / 通過儀礼 / 外国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「移民の子どもが日本の社会にどのような形で社会化するか,そのプロセスを社会学的な視点から解釈すること」にあった。 【具体的内容】すでにオチャンテが調査した日系ブラジル・ペルー国籍の若者の発言に基づき、論文「どのように外国籍の子どもを日本社会に統合するのか」を執筆した。この論文では,彼らが不登校となった事例を取り上げ,家庭から学校への「通過儀礼」が適切に機能した例と,機能しなかった例として分析した。 【意義・重要性】考察の結果,彼らの語りには「通過儀礼」が機能する場合と, 機能しない場合が見られた。①機能した場合:Cの発言(「教室で自分を受け入れるために様々なグループ活動を行った」)は,担任教員が意図的に「統合儀礼」を用意し,成功した例として解釈できる。通過儀礼は学校の様々な共同体に子どもを所属させる機能を担うが,ここでは,学級内の集団というさらに小さな共同体が形成される。 ②機能しなかった場合:授業中よく寝ていたAの発言(「先生からの手伝いがあったけれど,頑張ろうと思えるほどではなかった」)には,学習内容を詳細に説明しようとしなかった担任教師の姿がうかがえる。また「先生が何も言わなかった」ということから,Aからのサインを教員が見逃したと捉えられる。こうしたイニシエーターの態度がAを失望させ,通過儀礼に参加できなくなった状況と解釈できる。こうした彼の発言は,家庭から学校への「通過儀礼」が機能しなかった例として解釈できる。 今後,教員に求められるのは,第一に,ルビふりや声かけといった努力を忘れず,子どもからのサインを読み取ること。第二に,外国籍の児童生徒の居場所になるようなグループ活動を行うこと。第三に,日本語取り出し授業や,クラブ活動の参加を勧めることである。少なくとも教師がこうした儀礼の存在を意識することで,今後,外国籍児童の受け入れの姿勢が変化するのではないか。
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