2020 Fiscal Year Research-status Report
東アジア儒教圏の道徳教育と愛国心教育-日本の「特別の教科道徳」を考えるために
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17K04564
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 美香 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90331610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マカオ / 中国 / 地方課程 / 道徳教育 / 台湾 / 誠信教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、コロナ感染予防のため、新たな資料の収集はほとんどできなかった。これまで得た資料を使って、学会発表などを行った。中国については、地方・学校課程について道徳教育が独自に行われている点を述べた。例えば、広東省の地方課程では、本来の道徳教育に加えた独自の「誠信教育」に関わる議論を紹介した。広東省では、「社会誠信体系」「広東誠信建設」といった社会発展の独自のイデオロギーのなかで、「誠信」という言葉が用いられたことから、「誠信教育」が重視されたことを先行研究を踏まえて述べた。さらに、新しい中国の学習指導要領(課程標準)における教育観のなかで、子どもの「人間性」をどのように養成しているのかを書いた。鈴木敏之(国立教育政策研究所教育課程研究センター長)『学校における教育課程編成の実証的研究報告書2 諸外国の教育課程における人間性の涵養』において、中国は新しい時代にあっても、教育の中心は道徳であることが改めて明らかにした。 マカオの道徳教育は、中国に影響を受けた内容となっていることを示した。道徳教育のなかでは、マカオの歴史や社会的背景ではなく、中国と同じ道徳教育の概念が述べられていた。 これまで日本・中国・台湾の道徳教育を広く研究してきたことから、法教育との関連で各国・地域の道徳教育について発表も行った。現在、法教育が重視されているが、社会においてどうしてそのような法律があるのかを考え、そのうえで社会が必要とする道徳を学ぶ教育が重要であることを明示した。 ほかに、台湾ではコンピテンシーに基づく教育が行われているが、コンピテンシーと道徳教育との関連について、現在の台湾の状況をまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集は十分にできなかったが、学会発表などを行い、順調に、中国・マカオや台湾の道徳教育について研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が最終年度なので、これまで同様、儒教圏における道徳教育について研究を進め、同時に、日本と比較することで、それぞれの独自性を明らかにしたい。その結果は、本にしてまとめたい。
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Causes of Carryover |
本研究は海外研究であるが、今年度はコロナの感染が拡大し、調査を行うことができなかった。そのため、調査に必要な費用がかからなかったこともあり、使用する費用が少なかった。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] 5 中国2021
Author(s)
山田美香
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Journal Title
研究代表者 鈴木敏之(国立教育政策研究所教育課程研究センター長)『学校における教育課程編成の実証的研究報告書2 諸外国の教育課程における人間性の涵養』国立教育政策研究所
Volume: 0
Pages: 55,64
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