2022 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental Research for the Construction of University Evaluation, Management, and Administrative Finance Combined with Academic Governance
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17K04600
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10333585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学改革 / 大学設置基準 / 大学評価 / 国際卓越研究大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、大学評価、大学経営、大学行財政に多大な影響を及ぼす法制の改革が行われた。一つは5月18日に成立、11月15日に施行された国際卓越研究大学法(国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律)である。もう一つは、10月1日に施行された大学設置基準の改正である。 国際卓越研究大学法は、巨額の財政支援を行うことと引き換えに、大学に研究および研究成果を活用するための体制強化計画の策定を求めるものである。「スーパーグローバル大学創生事業」等と同じく大学に対する補助事業でありながら、認定、計画の認可、評価を通して経営体制、研究・教育組織の改革を行わせること、原資とされる大学ファンド(基金)を用いることにより長期に渡って大学を統制するしくみであることは特筆される。 大学設置基準の改正は、「内部質保証」と称する教育のシステム化を徹底することを総則に定め、専任教員よりも専属性の弱い教員を含む「基幹教員」が教育課程の編成等の責任を担うこととし、大学の基本組織を教員と事務職員等からなる「教育研究実施組織」にあらためた。これらの改正のねらいが研究・教育組織の再編を加速するための改正であることは、教育未来創造会議「第1次提言」の工程表が示す。 これらはいずれも、近年顕著になった大学の種別的再編、「質保証システム」形成を通した研究・教育の科学技術・イノベーション政策への従属を法制面から支えるものである。かつ本研究が掲げるアカデミックガバナンスと結合した大学評価等のあり方とは背馳すると言わなければならない。国際卓越研究大学と大学設置基準改正の問題を検討することは、研究期間を通じて検討してきた今日の大学評価、大学経営、大学行財政の特質を明確にする上でも、今後の研究課題を考察する上でも重要であることから、論文・論説等にまとめ発表することとした。
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Research Products
(3 results)