2018 Fiscal Year Research-status Report
地域社会における不登校・ひきこもり支援の実践コミュニティ生成過程
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17K04601
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
松本 大 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50550175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣森 直子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40315536)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ひきこもり / 若者支援 / 社会教育 / 成人教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は秋田県において若者支援団体の中間支援を担うNPO 法人KOUを取りあげ、県内全域にわたる市民レベルでの若者支援団体への支援の過程を分析したが、2018年度はそのKOUの支援のなかで誕生した北秋田市における若者の居場所づくりの団体の調査を進めた。この団体は、秋田県からKOUが受託した養成講座の修了生が設立した団体である。 具体的には、その団体とKOUとのどのような関係性が、若者支援活動の生成や持続にいかに作用しているのかを分析した。とりわけ、設立以来利用者が0名もしくは1名という利用実態が続いてきたなかで、それでも粘り強く活動が継続されてきたレジリエントな強さの背景を考察した。 その結果、まず、KOUによる当該団体への団体同士の交流が有効であったことがわかった。助言ではなく「一緒に関わる」という交流をとおした団体同士の協働が重要であった。次に、両方の団体に所属するメンバーが団体間の媒介となることによって、その境界上にある当該団体の最近接発達領域がたえず維持されていることもとらえることができた。つまり今回の事例からは、団体同士の交流だけではなく、団体の境界線上にある媒介者としての共同参加者の存在が、活動の創発や維持に関するレジリエントな力を生むことが示唆された。 以上の研究については、2018年度日本社会教育学会第65回研究大会において口頭発表を実施した(松本大・廣森直子・小林建一「ひきこもりに関する若者支援活動の生成と変容」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も複数回のインタビュー調査を順調に実施し、その調査結果を学会発表をとおして成果発表することができた。交付申請書に記載した研究計画の進捗とおおむね合致する内容で研究を進めることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度までは秋田県の団体の調査のみであったため、2019年度は秋田県以外の地域でも調査を実施したい。また、この2年間は支援団体の調査に限定しており、支援団体の実践コミュニティの外側に位置づく地域社会については分析してこなかった。そのため、2019年度は地域住民への調査も実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、沖縄で2018年10月に開催された日本社会教育学会研究大会に、台風のため飛行機が欠航し参加できなかった分の旅費を、次年度の調査研究のために残したということである。これはそのまま2019年度の調査研究のための旅費として使用する予定である。
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