2018 Fiscal Year Research-status Report
Legal and Empirical Analysis on "High Stakes" Teacher Evaluation Law in the United States
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17K04605
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高橋 哲 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教員評価 / テニュア / 学力テスト / トランプ政権 / 「人事直結型」教員評価 / 教育財政 / 教育平等訴訟 / 「働き方」改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
実態調査を中心におこなった前年度に対し、本年度は、トランプ政権以降の教員評価をめぐる連邦法、州法の分析を行った。なかでも、2015年12月に制定された連邦法「すべての子どもが成功するための法(Every Student Succeeds Act;以下、ESSA)」の教員条項の分析をおこなった。教員関連条項では、従来、各州の教員免許要件として求められていた「高い資質を有する教員」(Highly Qualified Teacher)の条項が削除され、教員免許制度に関する各州の裁量が拡大された。一方、教員評価をめぐっては、オバマ政権下の「頂点への競争」プログラム、ならびに、「義務免除(waiver)」政策に導入された「効果的な教員」概念がESSAの本文に取り入れられた。ESSAは、教員の「効果」概念にもとづく教員評価において、学力テストを評価に活用し、さらには、その評価結果を人事措置に活用することを各州、学区の努力義務としていることが明らかとなった。 さらに、この連邦法のもと各州においては、ESSA制定後から2017年5月末までに12州が教員評価関連の州法を改正しており、うち8州が教員評価における学力テストの活用手法を変更していることが明らかとなった。学力テストの結果を教員評価に反映させる割合を縮減する州が多くある一方で、教員評価を人事に活用することについて修正する州は1州のみであった。ESSAの制定後は、教員評価の「手法」が多様化する一方で、「人事直結型」の教員評価が依然として継続されていることが明らかとなった。 また、教員の身分保障をめぐる日米比較の観点から、教員の「多忙化」の法的要因となっている「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与に関する特別措置法」の解釈、運用に関する分析を進めた。この研究成果については近日中に公刊予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態調査を中心におこなった1年目に対し、本年度は、「人事直結型」教員評価の法制面の分析を予定通り行うことができた。2015年末に制定されたESSAに関する研究は、教育学や法学領域においても十分になされておらず、なかでも、教員条項は、旧法からみたESSAの最も大きな相違点の一つであるにも関わらず、包括的な分析がなされてこなかった領域であった。これらESSAの条文分析を行うとともに、この新しい連邦法のもと各州が如何に教員評価に関わる州法を改正しているのかを分析し、初期段階における各州の傾向、類型を示せたことは重要な研究成果であると思われる。また、1年目の実態調査にあたり共同研究を進めてきたコロンビア大学のマイケル・レベル教授を2018年6月に開催された日本教育法学会第48回定期総会の特別講演に招聘するなど、国際共同研究についても順調に進展しつつある。今後は、同教授との共同による調査と研究成果発表を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる3年目においては、初年度に行われた制度運用の実態に関する追加調査を行う。なかでも、1年目の調査において解明できていない、以下の2点について明らかにする。第一に、学力テストの結果とともに、教員評価のもう一つのカテゴリーとされている「教員観察」に関する調査である。教員観察は誰が主体となり、また、どれだけの頻度でどのくらいの時間をかけて行われているのか。また、授業観察において示された所見を教員評価や人事に如何に反映しているのかを明らかにする。第二に、州統一学力テストの対象とされていない教科や学年を担当する教員の評価に関する調査である。特に後者に関しては、連邦法による州学力テストの義務づけが、第3学年から第8学年までの数学と国語に限定されているため、学級担任制をとる小学校低学年や、テスト外教科を担当する教員を如何に評価しているのかを明らかにする。これらは主に、ニューヨーク市第5学区の学校に勤務する校長、教員へのインタビュー調査によって遂行する予定である。 また、教員の身分保障に関する日米比較の観点から、「学校における働き方改革」をめぐる問題、さらに、アメリカ型の教員評価を直輸入する大阪市の教員評価の政策動向についても調査を行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 現代の教師論2019
Author(s)
汐見 稔幸、奈須正裕、佐久間 亜紀、佐伯 胖
Total Pages
280
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-623-08536-1
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