2019 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育における包摂と排除に関する総合的研究
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17K04608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小国 喜弘 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60317617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星加 良司 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (40418645)
堀 正嗣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (60341583)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 統合教育 / 特別支援教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度については、まず、歴史研究について、これまでの研究のまとまった成果を完成させ、公開することができた。日本のインクルーシブ教育における様々な阻害要因を考えたとき、それは、1970年代以降繰り返し論じられてきた問題であり、同時に、いまでは表だった論点となっていないが、隠れた問題として、現代にまで続いているものも多数存在している。 その意味において、特に重要な時代は、1970年代である。当該年代において、養護学校義務化が起きるが、それへの反対闘争の中で、「発達」概念への疑義、医学・心理学・教育学の問題(今日でいう、医学主義、心理学主義などの起源でもある)、さらには自立概念の問い直しなどが提起されていた。そこで、養護学校義務化における反対闘争に焦点をあて、インクルーシブ教育を検討する上での分析視覚、日本における統合教育の歴史について検討を行い、小国喜弘編『障害児の共生教育運動』として東京大学出版会から公刊した。 それにより、今日のインクルーシブ教育が依然として「障害」にのみ焦点をあて、様々な差異の尊重を捨象している問題、「発達」に最適な場を設定することがなぜインクルージョンを意味するのかという日本独特の論理の歴史的起源などについて検討することが可能となった。 また、イギリスのインクルーシブ教育に関する指標の翻訳事業の助言・監修作業を行っている。来年度、冊子として公刊を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的に予定通り進んできたが、2020年初よりの新型コロナウィルスの発生により、海外調査などを執り行うことができなくなり、2020年度の課題として残されることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査による国際比較を進める他、コロナ禍に起きている、新たな教育問題にフォーカスをしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにより研究計画に支障が出ました。今年度、できなかった研究を円滑に推進すると共に、コロナ禍によって新たに生じた問題にも焦点をあてたいと考えています。
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