2020 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育における包摂と排除に関する総合的研究
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17K04608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小国 喜弘 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60317617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星加 良司 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (40418645)
堀 正嗣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (60341583)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / アドボカシー / 障害の社会モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、コロナ禍で十分な調査研究を行うことができなかったが、主として以下のような研究を遂行した。
1 インクルーシブ教育の現状の調査については、保護者・本人からの聞き取り調査を行い、学校教育現場における「医学モデル」の強い浸透が明らかになった。なんらかの逸脱行動が、安易に「障害」と結びつけられ、医療へとつなげられる中で、子どもの行動の背景にある様々な原因についての掘り下げがなされることない現状をどのように変革すべきかが課題となっている。チーム学校は、専門家の協同を前提とするために、医療との連携もより密接になる中で、結果的に「社会モデル」に対する考え方は現場にほとんど浸透していない点も問題であることが明らかになった。これらについては活字化がいまだ出来ていない。 2 学校において障害の医学化・個人主義化が進行している現状と、それを克服する手立てについては、アドボカシーの概念を中心に検討を行っている。 3 フル・インクルーシブ教育については、大阪市立大空小学校についての研究を引き続き行った他、インクルーシブな学校における校長のリーダーシップの考察などを行った。 4 日本における統合教育運動の理論的整理については、すでに小国喜弘編『障害児教育の共生教育運動』として公刊し、いったん研究としてのまとめを終えているため、新たな進展は現状ではない。また、これらの研究を踏まえて、教職教養のテキストの編纂作業をはじめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点において、コロナ禍の中で調査が十分になし得ず、インクルーシブ教育の現状についての調査、さらに海外との比較研究などにおいて遅れが生じている。
また、イギリスのインクルーシブ教育実践の翻訳作業の公刊についても、イギリス研究者との連絡がうまくいかず、遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍での行動制約が解除され次第、現地にでかけての先進校調査、海外視察などを遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に対応して新たな研究機材や人的支援が必要になったため。
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