2021 Fiscal Year Research-status Report
教育機会拡大期における中等職業技術教育再編の日本的特質の解明
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17K04614
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| Research Institution | Daito Bunka University |
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Principal Investigator |
松田 洋介 大東文化大学, 文学部, 教授 (80433233)
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2017-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 複線化 / 職業教育 / 技術教育 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、教育機会拡大期である高度成長期の中学校教育において職業技術教育がいかに再編されたのか、そこにいかなる日本的特徴があったのかを明らかにすることにある。
本年度は、戦後の独特の磁場の中で形成された民間教育運動内部での職業教育論争を、主として労働世界と教育世界の関係変容に位置付けながら整理した、松田洋介「職業教育論の戦後史ー単線的教育システムのなかでの模索」教育目標・評価学会編『「つながる・はたらく・おさめる」の教育学 : 社会変動と教育目標』日本標準、2021年,pp.119-133を発表した。
その際、第一に、戦後の民間教育運動の教育言説は、本格的な職業教育訓練の実現が困難な、いわば生産から強く分離された教育制度の制約の中で産出されてきたこと、第二に、国家の介入を強く警戒し、学校現場の自律性を守ることで自分たちの教育理念を実現しようとした民間教育運動にとって、労働と教育に対する国家的規制が必要となる職業教育は、教育の自律性を求める自らの規範との間に強い緊張をもたらすものだったこと、第三に、普通教育との区分を強め職業教育としてのアイデンティティを強めると、高等教育への進学準備が相対的に困難になる一方で、高等教育進学には還元されない、ノンエリートとしての積極的な職業的社会化が可能になるという意味で、普通教育と職業教育の分類強化は両義的であること、この3点を踏まえつつ、「単線系教育システムの中での模索」として、いわば実現が困難であることが前提の社会状況のなかでの取り組みとして、職業教育運動を検討した。それらを通して、職業教育として一括りにされるものの中でも、複線化へのスタンスには分岐がみられること、さらにはこれまで「普通教育」として認識されてきたものの中にも複線化志向の実践があったことなどを指摘した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 コロナ感染症の拡大にともなう資料収集が困難であったため、手元にある文書資料に限定した研究となったためである。しかし、手持ちの資料に限定して分析することで、戦後中学校における職業技 術教育の変動の日本的特徴の一端を明らかにする研究成果を出すことが出来た。
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| Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症をめぐる状況が改善したら、必要な資料収集を行うつもりである。しかし、それが難しい場合でも、手元に文書資料に限定し、それらを再分析することをとおして、教育機会拡大期後期の中等職業技術教育再編の一端を明らかにするモノグラフ的研究成果を出す予定である。
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| Causes of Carryover |
コロナ禍によって調査研究が滞り、とりわけ旅費の執行ができず、翌年度への持ち越しとなった。コロナ禍が明け次第、予定されていた調査を実施し、研究費を執行する。それが難しい場合は、文献史料の追加入手による検討に切り換える。
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Research Products
(1 results)
