2017 Fiscal Year Research-status Report
教育政策過程における校長会の役割と機能-戦前の校長会記録の分析を通して-
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17K04616
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
棚野 勝文 岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (30774559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 校長会 / 教育政策過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第一次資料の分析を通して戦前における校長会の実態を明らかにし、戦前の校長会が教育政策過程に対してどのような役割と機能を有していたのかを実践史研究の視点から考察することを目的とした。 当該年度においては、研究課題①:戦前の教育政策過程に関する研究史研究として先行研究を文献研究するとともに、戦前の校長会に関する「全国中学校長会議要録(明治35年)」「全国高等女学校長会要項(明治35年)」「全国商業学校長会要録(明治36年)」「全国高等女学校長会要項(明治41年)」「全国実業学校公聴会議録(大正5年)」「全国高等女学校長協議会要録第1回(大正6年)」など全国校長会記録6本、「地方高等商業学校校長会(明治34年)」地方小学校長会記録の残る「信濃教育」などの収集と、文献調査・分析を実施した。これら戦前期における校長会記録を通した分析による校長会の機能・実態に関する考察結果は、本年度において学会などで順次発表予定である。 また、研究課題③:大阪府立北野高等学校に残る明治29年から昭和15年の『大阪府中学校長会記録』では、北野高校における実地調査により、現在入手可能な大阪府中学校長会記録』のデジタル資料化を終了した。本年度以降、デジタル化した資料を読み取りデータベース化の枠組みを検討するとともに、データベース化並びに分析に着手する。また、一部記録において解読困難な文字については、古書解読専門家の力を借りることも予定している。 以上、当該年度は、本研究の基礎的な第一次資料の収集、整理を基本的研究活動にあて、概ね当初の目的を達成したと考える。本年度からは、第一次資料の収集調査も追加しながら、戦前の校長会の実態を明らかにする分析を精緻に実施、一定程度の成果が出たところで随時発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画はおおむね順調に進展している。 一部、戦前の教育行政過程に関する先行研究に対する研究史研究は、特に校長会に関する先行研究の希少性もあり、資料収集に手間取っており、予定より少し遅れている。一方で、本研究の主目的である『大阪府中学校長会記録』のデジタル資料化は終了するとともに、当初本年度に予定していた中央・地方に残る校長会の第一次文書の収集調査で、研究計画の前倒しによる一定の成果を上げることができており、研究計画全体としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
全国・地方の校長会記録など一次資料の収集調査の積み上げとともに、すでに入手した全国校長会など一次資料の分析考察、並びに『大阪府立中学校長会記録』のデータベース化により戦前の教育政策過程における校長会の実態解明と機能考察などが中心となる。一次資料の分析については、校長会記録の考察により一定程度まとまった分析研究成果が出た時点で,、学会、各種紀要などさまざまな機会を利用し発表していく予定である。また、『大阪府立中学校長会記録』に関しては、情報量も多く、読み取りい時間がかかるため、本年度より1年半をかけて完成させる予定である。 これらの全国校長会資料の分析研究、並びに、『大阪府立中学校長会記録』の分析研究で得られた知見を総合的に考察することで、当初の研究目的通りに、戦前における校長会の実態を明らかにし、戦前の校長会が教育政策過程に対してどのような役割と機能を有していたのかを実践史研究の視点から明らかにすることを目指す予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度においては、先行研究に関する研究史研究が、校長会に関する先行研究がその希少性などを理由に一部計画通りに捗らなかった。このことを主な理由に、書籍購入並びに実地調査回数が、計画を下回り、結果として予算が剰余することとなった。 本年度は、これらの研究にも一定程度の進捗が計画できており、書籍の購入、地方都市への実地調査の実施、学会・研究会における発表の実施などにより予算を計画通りに執行する予定である。
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