2019 Fiscal Year Research-status Report
社会インパクト債(SIB)活用による教育財源調達の新展開
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17K04619
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
高見 茂 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60206878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 健 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), その他 (20626973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SIB / DIB / 就学前教育 / 民間資金 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会貢献債の適用状況について海外調査および文献調査を実施した。海外調査については、米国ハワイのSIB活用による就学前教育の振興についてヒアリングを実施した。州教育局は就学前教育の普及拡大のため、米国本土で導入され実績を上げつつあるスキームを導入すべく州議会に諮ったが、議会の承認は得られず頓挫することとなった。それは州議会の多数派は民主党が占めており、教育・福祉系の政策に民間の資金を投入し、市場原理を持ち込む事に強い抵抗感があったからだとのことであった。財政面の効率化と政策遂行主体の公的責任の調整が課題である事が分かった。 また文献調査を通じて、教育面でのSIB導入の新しい事例を見出すことができた。ウズベキスタンでは、国内の3-7歳の就学前教育入学者に質の良い早期教育への機会を拡大することをねらいとしてSIBの導入を計画した。資金の一部は世界銀行が負担し、そのプログラムの一部と位置付けられ、世界銀行の公信用力による支援も組み込まれている。そしてそのプロジェクトは、就学前教育に就学している子どもの比率が地方ではわずか29%に過ぎない事を踏まえ、少なくとも入学者の比率を40%に持ってゆくことを目標にしている。またインド、南アフリカ、中東地域でも、教育領域にSIBの導入が進められている。インドでは、デリー、グジャラートの小学生300,000人以上の学力改善と向上を図る4年を超える野心的な計画を進めている。ここではSIBをモデルに組成されたDIB(Development Impact Bond)の仕組みが適用された。南アフリカでも、幼児教育にDIBの仕組みが導入された。このプロジェクトは、小学校就学前に学習のレディネスができていない子どもに適切な早期教育機会の拡大をねらうものである。資金の確保が厳しい途上国では、近年DIBスキームを適用する事例が増えているようである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年より管理職(学長職)を引き受けることになり、研究に集中する時間が取れなくなった事が大きい。また義理の父の介護負担が重くなったことも研究時間を確保できなくなった要因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で外国調査ができなくなったので、国内調査と文献調査・資料収集、メール・テレビ会議システムによりヒアリングを進め、遅れを取り戻し研究成果を上げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度諸事情で研究が予定通り進捗せず、実施出来なかったので、コロナ禍の状況にもよるが、海外調査・文献資料収集も確実に実施したいと考えている。
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