2021 Fiscal Year Research-status Report
社会インパクト債(SIB)活用による教育財源調達の新展開
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17K04619
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
高見 茂 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (60206878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 健 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), その他 (20626973)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SIB / PFI / ESG投資 / ソーシャルボンド / 成果連動型 / 事前防止措置 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度もコロナ禍のため、計画していた外国調査(英国または米国)が実施できず、SIB(Social Impact Bond)関連団体のサイトにアクセスすることによる資料収集と、その読み込みが中心の作業となった。直近の3年ほどでSIBの適用範囲は格段に拡がり、新たに社会貢献債としてメディアでも見かける機会が増加している。折からの財政難、毎年増加する社会保障費の抑制の手段として、事前防止措置の有効な政策手段として注目されている。特にわが国では、地方自治体にとって限られた財源の中で質を維持・向上させ適切に行政サービスを提供する手段の一つとしてのポテンシャルを秘めているとの評価がなされている。 またSIBは、成果連動型である点に加え、事業者が自己資金を投入して実施することが困難な場合に用いられる点も特徴として指摘できる。民間資金を活用する点ではPFIと共通しているが、PFIはその対象事業が空港、水道等のインフラの建設、運営・管理事業といったモノが主体となっている。SIBの対象事業は、社会保障等のサービス提供が主軸であり、基本的には人に対する投資が主体となっている。 さらに社会的インパクトに着目する類似のスキームとしては、ESG関連金融商品の一つであるソーシャルボンドが挙げられる。それは、社会課題への対処に向けた事業を資金使途とする債券であり、調達した資金の使途としてはSIBと共通しているとも考えられる。しかしSIBのように成果連動型ではなく、通常の債券の形態をとっているところに特徴がある。 SIBのデメリットとしては、複数の主体が関わることによって利害調整、モチベーションの維持といった点で運営が複雑になり易いという事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ蔓延の繰り返しによって海外調査ができなかった事が影響している。 教育面への適用事例は日本国内にあまり見られず、海外事例を見る必要があるのだが、Webの資料収集、文献調査では細かな点まで把握することができず限界がある。コロナ禍の終息、海外渡航の解禁等を待って海外調査研究をする必要が認められるからである。こうした事情によって研究の進捗が大幅に遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナの終息を待って海外実地調査を再開しようと考えている。調査対象国の感染状況、入国制限等についての影響もあるので、実地調査に先立って資料・文献調査で成果測定手法の検証を手掛けようと考えている。こちらは、比較的文献・資料収集で対応できるので、作業としてはロスタイムなく実施できると考えている。できるだけ早く成果測定手法の検討から着手しようと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外調査ができず、また国内調査をするにしても感染回避の必要性から、旅費として残していた費用の執行ができなかったからである。また最終報告書の作成等についても、コロナ禍で調査ができなかったことから、報告書作成の見通しが立たず、作業を進めることができなかったためである。コロナ禍の終息の見通しが出てきた場合には、海外調査、国内ヒアリングのための旅費、文献・収集資料費、最終報告書の作成費として使用することを計画している。
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