2017 Fiscal Year Research-status Report
学校予算の適切性の検証と算定方法に関する開発的研究
Project/Area Number |
17K04620
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
竺沙 知章 京都教育大学, 大学院連合教職実践研究科, 教授 (60243341)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 学校予算 |
Outline of Annual Research Achievements |
政令指定都市の学校予算の実態を把握するために、政令指定都市の小学校、中学校を対象としたアンケート調査を実施した。各政令指定都市で小学校50校、中学校25校、合計小学校1,000校、中学校500校の計1,500校に送付し、574校から回答を得ることができた。回収率は38.3%だった。主な質問項目は、教育委員会からの配当額、特別な経費の配当額、学校予算の編成方法、学校予算に関する評価や協議の状況、配当額が十分か不足しているか、学校の課題と予算におけるその考慮の状況、である。 全体の傾向として、第一に、配当額は十分でなく、やりくりに苦労しており、教育活動を含め支障が出るところが少なくないこと、第二に、学校予算については、個人の要求を基本にしているところも少なくなかったが、組織的に編成しているところが多いこと、第三に、学校予算について学校評価の項目に組み込んでいるところは少なかったが、費用対効果を検討する機会は多くの学校で設けられていること、最後に、市によって回答傾向に相違がみられ、市によってその実態、予算に関わるマネジメントの実践の状況に相違がみられること、を確認することができた。特に学校の課題を考慮して予算を編成していると回答した学校が6割を超えており、かなり多いことが注目される。学校の課題を踏まえて、どのように予算を編成し、実践しているのか、組織的なマネジメントの実態をさらに明らかにしていくことが必要である。学校課題と関連づけた予算編成を進めていく中で、学校予算の適切性を検討していくことが求められる。その意味で、学校予算の適切性を検討する条件が多くの学校に存在していることを確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において予定していたアンケート調査を実施し、4割近くの回答を得ることができた。それにより政令指定都市における学校予算の実態を把握するという目標を達成することができた。また集計結果に関して、分析、考察を行い、今後の検討課題を見出すことができた。アメリカにおける研究動向を踏まえた理論的な研究については、資料収集を行い、その研究動向を把握することに努め、おおむね目標を達成している。現在、その文献を読み込んでいるところである。 以上のように年度当初に計画していたことは実施することができており、必要なデータを得ることができた。したがって、おおむね順調に進展していると評価することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、実際にどのように予算編成をしているか、その実態を詳細に把握し、分析することを予定している。そのために、まずは、各政令指定都市の公立小中学校事務職員研究会の役員と面談し、学校予算の状況についての事務職員の認識と改革志向を把握するとともに、各学校、各共同実施組織における組織的な取り組みの実態を把握するために、学校を訪問し、詳細な学校予算に関わるマネジメントの実態を把握することを進めていく。 以上の実態把握とともに、それに対する理論的検討を並行して進めていく。すなわち学校予算の適切性を検討するために、どのような視点で、どのように協議を進めていけばよいのか、アメリカでの研究動向を踏まえるとともに、各学校での実態をもとに検討し、一定の方向性を明確にすることを目標に進めていく。
|
Causes of Carryover |
学校へのアンケート調査を実施した結果、574校から回答があった。そのうち、学校名を記載して回答してくれた学校に協力のお礼と集計結果を報告することを予定していたが、年度内にその作業を実施することができなかった。その発送のために使用する予定である。
|