2019 Fiscal Year Research-status Report
International comparative study on university governance and leadership
Project/Area Number |
17K04626
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大場 淳 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (50335692)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大学 / ガバナンス / リーダーシップ / 連携・統合 / フランス / 牽制機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、当初の予定では本研究の最終年度である。前年度までに行った文献読解等に基づく先行研究の整理を踏まえて、国内の訪問調査や研究会等での分析や議論を通じて、大学のガバナンスやリーダーシップについての現状・課題等について検討を進めた。その結果、日本の高等教育改革では、ガバナンス改革において組織論の蓄積が反映されておらず、例えばコーポレート・ガバナンスで重視される牽制機能がほとんど考慮されていないことが明らかとなった。また、多様性や普遍性を伴うべきリーダーシップの議論が学長のリーダーシップに収斂されて、大学内で上位下達的な運営が支配的となり、教育研究の現場に近い構成員の意見が運営に反映されにくい状況が生じていることとも明確となった。その結果、大学運営が独善的になったり、構成員において思考停止状態(無条件で執行部の方針・指示を受け入れる)といった課題が生じている可能性が示唆された。 国際比較については、2019年10月に来日したフランスの共同研究者(ロレーヌ大学)と研究打ち合わせを行った。更に2019年度末にフランス訪問調査を計画し、現地の研究者とともに研究会の開催、研究打ち合わせ等を予定していたが、コロナウイルスの影響でできなくなった。同国では大学の連携・統合が進められ、規模拡大等に伴ってその運営の在り方の見直しが重要な課題となっており、ガバナンスやリーダーシップについて生じていることを踏まえて、合意形成過程への構成員参加や牽制機能、リーダーシップの多様性・普遍性等に焦点を当てて、日本の現状・課題と比較研究をする予定であった。 2019年度で残された活動は次年度に持ち越して実施し、それを踏まえて本研究の取りまとめを行うこととする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの影響で当該年度末に予定されていた活動ができなくなり、活動終了が翌年度に持ち越されることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度末に予定していた活動を2020年度の早い時期に実施することとしているが、同年6月段階で海外出張は禁止され、また、相手国(フランス)の大学は全て閉鎖されており、当初予定の形での実行は当面見込めない状況である。暫くコロナウイルスの収束を待つことするが、年度内に海外出張が困難な場合は、遠隔通信による会議等を開催することによって当初の活動を代替することとしたい。また、学会等への報告や雑誌等への投稿は適宜進める。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスによって一部研究の実施が不可能となったため、次年度使用額が生じた。令和2年度助成金と合わせて、主として海外渡航(フランスにおける調査、研究打合せ等)に使用する。
|
Remarks |
日・英・仏・西語で開設。
|