2017 Fiscal Year Research-status Report
自律的学校運営における教師の主体性と学校関係者との信頼醸成に関する研究
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17K04627
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
澁谷 和朗 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (90781229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 卓也 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00335720)
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自律的学校運営 / 保護者・地域住民の参加 / 校長のリーダーシップ / 関係的信頼 / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に実施した研究活動及び成果は以下のとおり。 第1に、本分野にかかる先行研究を網羅的に行い、分析枠組みの精緻化を行った。特に日本の教育行政学の知見から、開発途上国における本分野で見逃されている重要な視点(親と子の距離の縮小、参加型の意思決定への改革と子供の学びの改革との関係)を分析枠組みに組み込むことができた。また開発途上国と日本の学校参加制度の共通する課題を整理することができた。 第2に9月18日から30日まで調査対象国であるガーナで現地調査を行い、対象郡の公立小中学校85校の校長質問紙調査、事例研究の対象校3校の保護者109名への質問紙調査、校長、教師、学校運営委員会保護者・地域住民代表、生徒へのインタビュー、過去3年程度の学校運営委員会幹部会合・総会の議事録の文献調査を行なった。併せて事後調査として、2010年ガーナ家計人口センサス及び学校に通学する生徒の属する地理的コミュニティに関する校長からの聞き取り結果をもとに、各学校の社会経済指標の算出を行った。先行研究では社会経済指標と参加、教育成果との関連性が高いことが指摘されているため、今後、共同的な参加、関係的信頼の程度、教育成果(学習成績、就学者数)との関係を定量的かつ定性的に分析する上で不可欠な情報を得た。インタビュー結果、会合議事録の分析は質的分析ソフトウエアMAXQDA18を用い、オープンコードを設定し、各文書をコーディングし、それを関係者毎、学校毎の事例としてまとめ、コード間の関係を分析した。 第3に、以上に基づき、アフリカ教育開発フォーラム、日本比較教育学会、日本教育行政学会、国際開発学会、全米比較教育学会、アフリカ遠隔・教師教育学会の年次大会で発表を合計8回行い、アフリカ教育研究、日本教育行政学会年報、英文雑誌1編への投稿を行った(うちアフリカ教育研究は査読付き原著論文として採択済)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査、データ分析、学会発表、論文投稿を計画的に行うことができている。ただ、英文雑誌への投稿はまだ1篇であるため、分析結果を論文としてまとめることを進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後英文及び和文学術雑誌への投稿を行い、確実に研究成果として結実させていくこととしたい。また第1次現地調査から1年後の2018年9月に第2次現地調査を行い、継続的事例研究として事例研究校における取組み成果を確認するとともに、学校運営の改革が生徒の変容に及ぼす直接的、間接的な影響に関して、教師、保護者、生徒からの聞き取り調査を行い、研究成果として取りまとめたい。
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Causes of Carryover |
2017年度に海外調査1回分を含めた経費を2018年度から前倒し申請したが、実施のタイミングが合わず海外調査を実施できなかったため次年度使用額が生じた。2018年度請求分と次年度使用額を併せて、2018年9月に海外調査を計画し、執行していく予定。
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Research Products
(9 results)