2017 Fiscal Year Research-status Report
公民館地域課題解決アセスメントシートの開発に関する研究
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17K04629
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
上野 景三 佐賀大学, 学校教育学研究科, 教授 (30193824)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 公民館 / 地域課題解決 / アセスメントシート / 社会教育 / 地域福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画は、研究課題に即して、①学際的な理論研究を行い、②調査研究の枠組みを設定する、ところにある。①については、公衆衛生学研究、コミュニティ・ソーシャルワーク研究、アクティブ・シニア研究、学習中心型コミュニティ・ワーク研究、等々の関連する諸分野のアセスメントや評価シートの作成方法に関する文献・資料を収集・検討によって、②の調査研究の枠組み作成を試みた。また上記のみならず、地域経営学、地域看護学、学校経営学等の研究に関しても収集・検討を行った。 学際的検討は多領域・多分野に渡るため、まだ中間的な報告にとどまるが、現時点で明らかになったことは、次の三点である。①1つは領域によって異なっているが、アセスメントシートの目的は、組織・団体のなんらかの合理的な経営や運営を目的としていることである。見方を変えれば、効率的な経営・運営を目指すところに置かれている場合が多いことである。②2つには地域経営学等では、「地域診断」やアセスメントは、地域活性化の材料や資源発見のために行われていることである。この場合、これまで地域社会で光が当てられなかった領域に注目するといった積極的側面がある一方で、活性化の材料や資源とならないものは捨象されるという結果を生じさせている。③3つには地域看護学、公衆衛生学、地域福祉学等では、地域社会内の対象者支援のために地域社会内の利活用できる資源を発見し、支援に役立たせていくという目的意識が見られ、資源動員論と近似している。 これらの点を参考にし、公民館研究としてはさらに次の点について深める必要があることが明らかになった。①1つはアセスメントによる地域住民の主体形成の筋道の解明、②アセスメントシート活用によって先進地のノウハウの地域定着の可能性の探究、という二点が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の計画は、学際的な理論研究を行い、調査研究の枠組みを設定することであった。「やや遅れている」としたのは、その理由の1つは、文献・資料の収集は順調に進めることができたが、分析・検討に時間がかかったことである。関連領域を4つに設定していたが、収集の段階で、地域経営学、地域看護学、学校経営学等の領域にアセスメントシートの研究があることがわかり、収集の範囲を広げ、伝関・検討を行ったたためである。2つには、新しい知見が示唆されたことである。研究計画段階では、各領域のアセスメントシートの横断的分析により、公民館課題解決のアセスメントシートの開発、それの実施・実施、一般化による実装可能性の探究という筋道をたてていた。だが、学際的な分析を進めていたところ、都市計画からの知見により、本テーマのもつ新たな可能性を示唆されたことによる。つまり、実施状況報告の最後の2点めに関わることだが、アセスメントによる効果は、地域社会内における経営効率化や資源動員だけにあるのではなく、地域社会間の技術移転の可能性の探究という側面を有していることが示唆されたことである。この点は研究計画段階ではなかった観点であり、この点を組み込んだ調査計画作成が求められることになり、その点の作業が遅れていることから「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、次の三つに取り組む予定である。 1つは、学際的な理論研究分析が、対象領域を拡大したため中間報告にとどまっていることから、学際的な理論分析の整理を行う。 2つには全国調査とモデル公民館調査のヒアリングを行う。全国調査は、職員体制と公民館地域理解との関連について、社会教育統計等のデータに基づき必要な調査・検討を行う。モデル公民館調査は、これまでの研究仮説に基づき全国から設置形態によるモデルを選出し、ヒアリングを行う。 それらの作業を踏まえ、3つには公民館課題解決にむけたアセスメント的方法を協働アプローチ的方法に組み入れたアセスメントシートの開発を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は、物件費としてPC購入を予定していたが、調査を2年目に実施することから2年目に振り返ることにした。旅費について学会参加を予定していたが、インフルエンザの罹患したため、急遽とりやめたことによって、差額が生じたものである。その分を次年度に振り替えたた。2年目は、全国調査とモデル公民館ヒアリングを予定しているので、その分で消化する予定である。
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Research Products
(4 results)