2018 Fiscal Year Research-status Report
幼児期からの道徳性育成のためのカリキュラム編成に関する基礎的研究
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17K04633
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
椋木 香子 宮崎大学, 教育学部, 教授 (00520230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 納央子 山口学芸大学, 教育学部, 准教授 (50341136)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 幼児教育・保育 / 道徳性 / カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はオーストラリアのカリキュラム編成に関する実践事例のフィールド調査を行った。オーストラリアでは2009年に初めて全国共通の幼児教育・保育のフレームワークが策定され、現在、それに基づいて各州、各園でカリキュラムが編成され実践されている。本研究では、最終的に幼児教育における道徳性育成のカリキュラム編成について明らかにしたいと考えているが、幼児教育・保育実践が各国の社会的・文化的背景やカリキュラムの原理的差異等のさまざまな要因に規定されていることを踏まえ、カリキュラム編成に関する国際比較研究の一環として、4年間継続してオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州の幼児教育施設数園を訪問し、視察調査を行っている。 継続して視察調査を行っている6園は、それぞれ園の規模や施設の特徴、通園児の家庭的背景等が異なっているが、毎年継続して観察することで、各園に共通するカリキュラム編成の考え方、カリキュラム・マネジメントの方法が明らかになってきた。特に、どの園も毎年教育方法や内容を検討・改善し、保育実践を向上させていることが分かった。また、そのために、国の方でも新たな手引きを策定し、それが保育者の専門性の向上につながっていることも保育者へのインタビューで明らかになった。 オーストラリアのカリキュラム編成の考え方と実際の教育実践との関連を明らかにすることは、我が国での幼児教育におけるカリキュラム・マネジメントや保育実践の質的向上に大きな示唆を与えると考えられる。また、オーストラリアの幼児教育においても、「持続可能な発展のための教育」やシチズンシップ教育がオーストラリアの価値教育(Values education)との関連で取り扱われていることも本年度の調査で分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツでのフィールドワーク調査を行う予定だったが、研究分担者との都合が合わなくなり、実施できなかった。子どもの認識の発達に即した支援方法の実践事例分析は、幼児教育に関する国際学会運営のため、時間が十分確保できなかった。 一方、オーストラリアでのフィールドワーク調査では、これまでの調査の積み重ねもあり、大きな成果があった。また、カリキュラム編成だけでなく、カリキュラム・マネジメントの視点からの考察も可能となるような情報が収集できた。 全体として、研究計画の実施内容と成果に偏りが生じており、総合的に判断して「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の分析を効率的に行うために、リサーチアシスタント等の活用を行う。また、研究体制の組織化において、現在の研究内容に合わせて、研究体制・研究協力者の変更を行い、新たな研究協力者も加えて分析を行う。 令和元年度はドイツの幼児教育のカリキュラム研究の予備調査として幼稚園・小学校を訪問し、幼児教育と学校教育のカリキュラムの接続についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度は研究分担者とドイツでのフィールドワーク調査とチェコ共和国での国際学会参加を計画していたが、研究分担者の身内に不幸があり、調査・会議に行けなくなった。研究代表者だけの調査・参加も検討したが、調査の妥当性や信頼性が下がり、収集できる情報も限られてくるので、費用対効果を考慮し、研究代表者単独の調査・参加を見送った。 令和元年度に改めてドイツでの調査計画を立て直し、調査に行く予定である。
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