2019 Fiscal Year Research-status Report
小学校への移行期のインクルーシブ保育・教育におけるプロジェクト活動の展開方法
Project/Area Number |
17K04634
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 理絵 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (60249282)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | インクルーシブ保育・教育 / プロジェクト活動 / 教育的ドキュメンテーション / 異年齢保育 / 発達障害支援 / 縦断調査 / 幼小接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、幼稚園・保育所から小学校への移行期に、発達障害支援等の「特別な配慮」を必要とする幼児を含むインクルーシブ保育における、興味・関心に基づくプロジェクト活動の効果とその展開方法について、保育実践の継続的観察及び保育者等からの聞き取り調査の分析により明らかにすることを目的としている。本年度は、以下のような成果があった。 1.観察・調査対象の保育園で観察し、プロジェクト活動や子どもたちの変化について保育者からの聞き取り調査(カンファレンス)を行い、記録を作成し、保育者の働きかけ、環境設定の工夫、ドキュメンテーション(記録)の活用方法等について分析している。 2.日本保育学会第72回大会における自主シンポジウム「障害と多文化を包括するインクルーシブ保育の可能性」において「権利としての子どもたちのインクルーシブ保育」の話題提供を行った。インクルーシブの考え方や実践例の報告を行い、討論した。 3.スウェーデンの保育者を7月に招き、スウェーデンの近年の保育・教育の動向やプロジェクト活動とその基礎となる教育的ドキュメンテーションや、幼児期から小学校への移行期の支援に関する聞き取り調査を行い、紀要にまとめた。また、2019年3月にスウェーデンのペダゴジスタを招聘し、インクルーシブ保育についての知見と実践を紹介してもらった内容を報告書にまとめ、保育実践者に参考にしてもらっている。 4.日本におけるインクルーシブ保育や異年齢保育、プロジェクト活動の実践を分析し、「子どもたちの主体性と多様性を大切にする保育」として理論化を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「保育園における特別な配慮を必要とする幼児が在籍するクラスのプロジェクト活動に関する異年齢保育場面及び年齢別保育場面での観察・聴き取り調査の実施及び分析」を行う予定で、研究実績で述べたように計画通りに進んでいる。研究実績1,2のように成果は紀要及び学会で発表することができた。 また、「プロジェクト活動や発達障害・多動/衝動的傾向を示す幼児への対応の実践事例、異年齢保育及びインクルーシブ保育に関する資料を文献や学会発表から収集する」という計画についても、文献の収集と学会・研究会への参加により遂行している。 当初は、スウェーデンの就学前教育施設を訪問し、プロジェクト活動の展開方法、発達障害の子どもの援助、小学校入学1年前の就学前教育での支援方法について、観察・聴き取り調査を行う計画であったが、本研究の研究代表者は、公務多忙のため現地調査の実施が難しかったので、スウェーデンの保育者を日本に招聘して、聴き取り調査を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は科研最終年度であるので、保育園での観察・聞き取り調査の記録及び収集した資料の分析を中心に行い、補足的に観察・聞き取り調査、資料収集を実施し、研究をまとめていく。
|
Causes of Carryover |
スウェーデンでの訪問調査が日程の都合でできなかったので、スウェーデンから講師を招いて聞き取り調査を7月に行ったため、残額が発生した。次年度は、この未使用額と次年度分の請求額とを合わせて、調査及び調査の分析・まとめのための経費と必要図書の購入にあてたい。
|
Remarks |
山本理絵、白石淑江、ジェーン・ウェンズビィ『スウェーデンにおける「特別な権利をもつ子どもたちの」インクルーシブ保育』2020年3月 全69頁。 山本理絵、三山岳、瀬野由衣、志村美和著『幼児期からの就学移行支援相談・支援体制に関する研究 報告書』2020年3月 全42頁。
|
Research Products
(6 results)