2021 Fiscal Year Research-status Report
「深い学び」を生成する保育カリキュラムの研究―自然発生的遊びに着目して―
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17K04638
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
西城 裕子 (磯部裕子) 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50289740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 深い学び / 保育カリキュラム / 自然発生的遊び / 計画・評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究園のカリキュラム案と実践記録をもとに、保育空間とカリキュラムの連関、環境がアフォードする実践の具体の検証、環境や空間の変化と、子どもの遊び、探究のプロセスから、「深い学び」を生み出す要素の抽出とその検証を進めてきた。今年度は、二つの研究園の実践を中心に検証を進めた。一つは、非学校型空間としての園舎を建設準備中の保育環境の検討である。基本設計から実施設計に至る前段階として、生活や遊びを中心として保育カリキュラムを構築した際にキーとなる環境のポイントを見出し、その分析を進めた。建築分野の専門家と協同し、検証を進めてきた空間は、次年度具体化する段階に至っている。また、実践者とは子どもの生活空間の一つひとつの意味を確認し、実施設計に反映できるよう、検討を進めている。 もう一つの研究園では、子どもと保育者で進めた1年間の実践を「深い学び」という視点から保育の質を検討し、分析を進めている。これまでの保育のカリキュラムは、立案する側の計画が先行し、それに従って実践されるものが多く見られたが、こうしたカリキュラム観を見直し、子どもが自ら始める遊び、そこから深まる遊びのプロセスに注目している。「自然発生的」な遊びが、「深い学び」に至るには、保育者の子ども理解。遊びの読み取り、それから常に再生される環境や教材の分析が不可欠であることから、保育者の子ども理解や遊びの読み取りを保育者の記録、ドキュメンテーションをもとに整理し、そこにあるナラティヴの意味を検討している。 現段階で収集された資料やデーターをもとに、今年度は、これらの最終的な分析と検討をまとめていく。 また、本研究及び実践は、建築家、実践者、研究者が協同して進めているものであり、それぞれの専門性を生かした研究の在り方や可能性についても合わせて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、今年度の前半まで、実践現場での検証が実現しない期間が続き、具体的な事例の収集が不可能な時期が生じたため、研究全体の進行が遅れている。しかし、リモートによる現場とのやり取りが可能になったこと、年度後半には、事例やデーターの収集が可能となったため、研究のまとめに入っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究の計画最終年度であることから、これまでの事例から見出された「深い学び」に至る要素を整理し、具体的なカリキュラムとその評価の方法について、一定の結論を導き出す。研究園の一つであるA園では、実施設計をもとに保育空間の具体的な建築に入ることから、カリキュラムと空間、環境の連関について、最終的な検証に入りたい。また、B園の実践は、子どもの主体的な遊びや生活が、「深い学び」に至るプロセスを保育の質に注目しながら、検証する。この2園の研究の成果は、著書及び論文にまとめて公表する。 コロナ禍の影響で。実践現場での最終調査と検証が多少、遅れることも予想されるが、次年度は、主としてまとめと公表の段階であることから、この計画を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、実践現場での調査が当初予定通り行うことができなかった。年度後半から、リモート及び現地調査が可能になったことから、今年度は、これまでの調査のまとめと整理、公表のための諸経費として研究費を使用する。具体的には、現地での調査データーの最終確認のための旅費、調査協力との打ち合わせのための旅費および謝金、実験的に使用する遊具等の経費、研究費公表のための諸経費とする。
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