2017 Fiscal Year Research-status Report
参与観察による合併自治体における地域連帯意識醸成と社会教育の役割に関する研究
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17K04651
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
内山 淳子 佛教大学, 教育学部, 准教授 (90648081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会教育 / 地域づくり / 官民連携 / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は官民連携による地域づくりが求められる今日において住民の参画と協働をどのように推進していくか、社会教育行政(生涯学習振興行政)による支援の意義と方策について検討するものである。平成25~28年度の科研費助成研究「地域間文化交流を通した生涯学習の促進に関する実証的研究」での蓄積を踏まえて進めている。平成29年度は伊賀市教育委員会の協力を得て、生涯学習課と連携した「地域づくりワークショップ」の企画・実施を行った。
伊賀市は2004年に6市町村が合併してできた市であり、合併以降は市内に38の住民自治組織を置いて住民自治のまちづくりを推進している。当年度の「地域づくりワークショップ」事業の経過を通して、①事業に参加した住民の地域活動への意識および住民間ネットワークの進展、②行政側の推進体制、③官民協働の発展性、の三点について推移を知り得ることができた。
計6回延べ参加者167名の市民学習事業の実施、および事後アンケート等を通した本年度の成果として、①合併前の旧自治体では公民館設置状況など社会教育体制に差異がみられる、②したがって合併後も画一的な地域づくりの方策はとりにくい、③住民は旧自治体内の文化や地域づくりへの愛着・造詣は深いが他地域の活動は知られていない、④全市下での人的ネットワークを持つことに意義を感じる人が多い、⑤中央公民館(生涯学習課)と地区公民館が連携し住民との積極的な意思疎通を行うことが、社会教育行政による地域づくりへの貢献として有効である、という結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の本年は当該自治体の生涯学習振興施策として6回の市民地域づくり講座を実施することができた。担当課や社会教育主事の協力を得て参加者へのアプローチを継続した結果、年間を通じて参加者が増加し、本講座をきっかけとして地域を超えた人的ネットワークが作られつつある。 本年度の最終時期には、参加市民グループの発案で今後希望する事業内容案が提出されており、今後は行政機関の方針を仰ぎながら官民連携の地域づくりをどのように組織化していくかが課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は社会教育行政による地域づくり講座事業が開催された初年度であるが、継続を希望する参加者が多い。今後この状況を住民自治の活性化にまで繋げていくには、各地区公民館・分館・住民自治組織がさらに連携を深め、組織的活動として進める必要があると思われる。次年度は官民による実行委員会が構想されており、社会教育委員の協力も得られる可能性がある。 今後も地域住民の意思を汲み取る住民リーダー(住民嘱託職員)と担当部署との意思疎通は不可欠である。地域づくり(住民自治)への意欲が人々に共有されるよう無理のない方策を行政機関および参加者と共に講じていきたい。社会教育施策として地域づくりを進める探究テーマとしては「市民による地元地域文化の再発見」が引き続き予定されている。
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Causes of Carryover |
今年度は三重県内を対象とした調査研究に終始し、予定していた他府県の視察を行うことができなかったため使用額に差が生じた。次年度は教育行政の立場から地域づくりに取り組む複数の自治体事例を視察し、本研究の参考にしていきたい。
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