2017 Fiscal Year Research-status Report
社会情動的スキルと認知的スキルを相互的に育む日本版エシコウルの開発
Project/Area Number |
17K04656
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
中村 恵 畿央大学, 教育学部, 講師 (90516452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 和喜雄 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (00225591)
古川 恵美 畿央大学, 教育学部, 准教授 (20636732)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 就学前教育 / ポートフォリオシステム / 学びの可視化 / エシコウル / ネウボラ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、相互に作用しあう社会情動的スキルと認知的スキルが幼児期において注目され、家庭・学校・地域社会等 一貫性のある学習環境において育まれるとされている。本研究は、フィンランドの子育て支援を参考にした日本版ネウボラに注目し、公的健診等誕生から継続した心身発達を支える小児医学的視点を学習環境に取り入れる為の要件を精査する。また、メディア(=情報を媒介するもの)に対する認識(Media Awareness)を意識した保育実践を可視化するポートフォリオシステムを構築し、主体的な学びを意識した就学前カリキュラム「日本版エシコウル」をデザインして、実践、評価を行う。このことにより、「日本版エシコウル(就学前教育)」において、子どもの社会情動的スキルと認知的スキルが相互的に高まり、Media Awareness がそのエンジンの役割を担うことを明らかにする。 平成29 年度に、フィンランドの就学前施設、ネウボラ等への視察及びインタビューを実施した結果、保健医療システムと教育システムが専門的知見に基づいて、それぞれが独立して電子的に一元化されており、必要に応じて連携していることが明らかになった。また、National core curriculumにおいては就学前教育からICTを意識したものになっていた。そこで、就学前から就学後の一貫した学習環境に必要な観点を検討し、子どもの学びを可視化するためのポートフォリオシステムのプロトコルを作成した。 また、名張市における日本版ネウボラについての調査,担当者に対する半構造化インタビューにより、保健医療の観点から就学前教育と連携したい内容が明らかになりつつある。これらの知見をもとに、子どもの社会情動的スキルと認知的スキルが相互的に高まるような、Media Awarenessに注目した就学前カリキュラムについての検討に繋げるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィンランドへの視察において、National core curriculum策定者へのインタビューを行ったことにより、National core curriculumにおいて目指しているものや,実現可能なシステムのあり方等が明らかになった。同時に、就学前施設訪問により、National core curriculumが実際にどのように運用されているかを明らかにすることができた。ネウボラを訪問し、ネウボラナースへのインタビューによって、誕生から就学前,就学後を一元的に支える子育て支援のあり方を明らかになり、一貫した学習環境として必要な要因の検討に繋げている。名張市における調査を実施したことにより、就学前カリキュラムに必要な要件が明らかになってきた。また、ポートフォイオシステムのプロトコルを作成したことにより、平成30年度はそれらの検証を就学前施設において実施することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
学習環境構築については、30年度は名張市の担当者への半構造化インタビューも実施しながら、社会情動的スキルと認知的スキルを相互的に育むための観点整理と環境デザインを行う。ポートフォリオシステム構築については、プログラムの作成と保育現場での実践と検証を行う予定である。日本版エシコウルのカリキュラムデザインについては、29年度に実施したフィンランド視察において得られたナショナルコアカリキュラムにおける知見と、日本のカリキュラム改革における資質能力の考え方を相互に取り入れながら、MediaAwarenessを意識したカリキュラムデザインを行い、保育現場への提案をインターネットサイトを活用して行っていくものである。そのために、インターネット上に保育サイトを作成し、情報の共有を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
国内旅費については、名張市へ重点を置いて調査することになったので、旅費を次年度へ繰り越すことになった。また、ポートフォリオシステム開発においては、今年度はプロトコル作成のみを行ったので、本格的な開発費用およびインターネット上での情報共有のためのウェブサイトの開発費用として次年度に使用することとなった。さらに、今年度のフィンランド視察を踏まえ、最終年度に再度フィンランドを訪問し、日本版エシコウルについての評価をフィンランドの幼児施設においても行い、国際学会で成果を発表予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 保育内容総論2018
Author(s)
中村 恵、水田 聖一、生田 貞子(編著)
Total Pages
216
Publisher
福村出版
ISBN
457111611X
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[Book] 保育の原理2018
Author(s)
吉田貴子、水田聖一、生田貞子(編著)
Total Pages
216
Publisher
福村出版
ISBN
9784571116100