2018 Fiscal Year Research-status Report
イギリスにおける「自律・競争・協働」による学校統治方式の可能性と限界に関する研究
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17K04670
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
山村 滋 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (30212294)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校統治 / 準市場 / 自律 / 競争 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリスにおいて進められている「自律・競争・協働」による学校統治方式の可能性と限界を明らかにしようとするものである。 このような学校教育制度を分析する理論的視座を得るために、本年度は、「抑制と均衡モデル」による学校選択制度による教育改革を主張した黒崎勲の学校選択論を、学校統治の観点から分析した。 学校統治においては、「教育を受ける者の意志にしたがって教育が行われなければならない」=「教育の正統性」の視点、および、教育活動の決定が専門家による独善に陥ることなく、専門家の教育活動をより効果的なものにするための「アカウンタビリティー」=「効果・効率」の視点の二つが重要である。さらに正統性評価ためには「親の安心・子どもの満足」が具体的かつ重要な指標となることが黒崎の論から導出できた。 次に、この2点をイギリスの学校教育制度・学校選択制度に照らして学校統治を実証的に評価しようとする場合、いかなるデータが利用可能であるかを検討した。正統性に関しては、教育水準局(Ofsted)が公表している各学校単位の「保護者の評価(Parent View)」が、アカウンタビリティーに関しては、同じくOfstedの学校査察結果およびGCSEなどの校外試験の結果が利用できると考えられる。次年度は、これらのデータを利用し、実証的な分析を進める予定である。あわせて、上のデータやOfstedレポートなどを活用して特徴的な学校を抽出し、学校統治上、「自律・競争・協働」がどのように機能しているか、問題点・課題は何か、について訪問調査を実施する。この成果、および、上記の量的分析を総合的に分析し、本研究の課題を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一昨年度、業務上の共同研究者2人が他機関へ異動し、その後、補充されていないため、引き続きその共同研究をほとんど一人で遂行しなければならなく、本研究に十分な時間が割けなかったため
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Strategy for Future Research Activity |
研究の終了時には、なんとか当初の課題を達成できるように、研究計画を再検討した。
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Causes of Carryover |
本年度は、業務との関係で、現地調査が実施できなかったため次年度使用額が生じた。これは次年度の現地調査ならびに量的調査研究・分析費用に充てる。
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