2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of career support for International STEM postgraduate students in English-medium instruction courses in Japan
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17K04680
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
ライアン 優子 静岡大学, 国際連携推進機構, 准教授 (40615340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袴田 麻里 静岡大学, 国際連携推進機構, 准教授 (20334964)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 理系留学生 / キャリア教育・支援 / 高度外国人材 / 日本語力 / 博士人材 / 10月入学 / 日本語学習歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である平成29年度の調査研究及び実践研究は主に以下の4つである:(1)理系修士課程に在籍する日本語初中級の留学生の在籍・進路及び就職状況調査、(2)日本語教育歴・日本語能力の分析、(3)教育・支援実践:進路指導ガイダンス、キャリアセミナー、留学生と企業の交流会の実施、(4)日本の高等教育におけるキャリア教育・支援実践状況の予備調査。 (1)については、就職活動環境、活動歴、結果に関するアンケート及びインタビューを行った。独自の調査から得られた一次データと他機関の調査で得られた二次データの比較分析から、理系修士課程に在籍する日本語初中級と上級の留学生の進路希望傾向を比較し、日本語初中級の留学生の博士進学希望傾向が強いという結果が得られている。同結果については、今後の更なるデータ収集と分析を通して、より大きい枠組み、多様な観点で継続的な考察を試みる。(2)については、27年度から29年度までの修士課程英語コースへの入学者について日本語科目受講歴、学習歴を調査した。入学前には7から8割が日本語学習歴が(ほとんど)ないこと、入学後第一学期に入学者の9割が日本語科目を受講するが、半数は学期途中で受講を諦めること、その結果、最終学期(第四学期)になっても入学者の7割が初級後半程度の日本語力であることが分かった。(3)については、研究対象群に対して教育・支援実践:進路指導ガイダンス、キャリアセミナーを実施し、事後に関係者で改善方法を検討し、受講者に効果をたずねるアンケートを行った。(4)については、5つの大学における研究対照群を対象としたキャリア教育・支援実践状況について、公開資料と留学生就職支援の実践に関する事例報告会の資料を元に調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は所属する大学が文部科学省から事業委託を受けた留学生就職支援プログラムの立ち上げを通して、実践研究と調査活動の基盤の構築を進めた。留学生の就職に関係する産学官関係各者のコンソーシアムが発足し、支援イベントと実践に関わる教職員の数が増えたため、本研究活動への調査協力を得る場と結果を公表する機会が増える見込みとなった。また、他の留学生就職支援プログラム実施校に本研究対照群の留学生の教育・支援を実施する大学があることがわかり、今後の研究における参照事例が増え、公開情報等が計画時よりも多く得られると見込んでいる。 平成29年度に就職活動環境、活動歴、結果に関するオンラインアンケートを実施し31件の回答を得た。またアンケートフォームを学外の研究協力者に開示し、調査データ結果の共有について検討をした。平成30年度はフォームを改良し、継続して調査を実施予定である。これらの留学生を対象とした調査活動のうちアンケートを通したデータ収集は計画通り進んでいるが、インタビューを通したデータ収集と企業を対象とした調査活動が計画よりも遅れているため、次年度に進展を図る。前述のように研究対象群へのキャリア教育・支援活動の実施回数と産学官連携の機会が増えるため、それらをデータ収集の機会として活用する。
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Strategy for Future Research Activity |
全国の理系大学院修士英語課程の留学生の在籍、履修内容、就職・進路、就職支援の状況に関する調査については、データの取得方法を変更し、同類の調査を全国的に実施する機関にデータを照会し、そこから得られる二次データの分析を進めている。この全体の動向を示すデータに加えて、研究対照群のより詳細な状況についてのデータの収集を、平成30年度以降に計画しているキャリア支援の事例研究とGPの抽出の過程で進める。 留学生の日本における就職と定着という研究課題の国際的な背景を理解するため、当初の研究計画には含まれていないが、同課題の国際動向について文献レビューを進め、他国と比較した日本の状況について分析を行う。 研究対照群の日本語力については来日後の日本語学習状況が把握できたため、今後は日本語学習を阻害する要因の特定を進める予定である。これらを踏まえて、就職後、どのような日本語力が必要となるかについて、すでに就業している元留学生へのインタビューを30年度より開始する。
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Causes of Carryover |
研究従事者の所属機関における実践研究活動の基盤形成にエフォートが多く割かれ、インタビュー調査のための訪問活動及び発表活動が見込みより少なくなったため。次年度の当初に、前年度から繰り越した活動も含めて、年間を通じた調査・発表活動を計画し遂行する。
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