2018 Fiscal Year Research-status Report
イランの思考表現スタイルと学校文化ー日米仏との比較からー
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17K04681
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 雅子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (20312209)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イラン / 思考表現スタイル / 国語教育 / 歴史教育 / 大学入試比較 / 作文教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、現地調査が叶わなかったため、翻訳が終了した歴史・社会科教育の教科書と作文の教科書の分析を、フランスの歴史教育教科書及びフランス語(国語)教育の教科書、バカロレア試験における論文の書き方の指南書と比較しつつ、イランの書き方・語り方の特徴を抽出する事に専念した。イランの作文教育の教科書からは、5パラグラフエッセイの型を基本にしながらも、イランの国語教育のテーマに頻出する四季や家族、正しく生きる道筋などを扱うことにより、定型化された作文教育が行われている事がうかがわれる。書く事に関して新しい技術を取り入れながらも、それをいかにイランの文化的な文脈に沿うように使えるかに注意が払われているのが分かる。イランでは大学入試はマークシート方式で行われ、一切書くことが求められないため、小論文の比較分析は難しいが、文献調査からは、エッセイの様式は取りながらも言葉の定義に紙面を割いたり、定型化した結論に議論をまとめていく傾向が見られる事が示唆されている。 イランを含めた大学入試の比較研究は、2015年出版の論文に大幅な加筆を加え、以下の書籍に成果を反映させた(Watanabe, Masako E., 2019,“Typology of Abilities Tested in University Entrance Examinations: Comparisons of the United States, Japan, Iran and France,”Fumiya Onaka ed., Comparative Sociology of Examinations. New York: Routledge, pp.71-97)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イランの政治・経済情勢により、現地での調査が難しくなってしまったため、現地調査に替わる方法を模索し、資料を収集しつつ翻訳を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本在住のイラン人研究者(ペルシャ語母語者のコミュニケーションスタイルの研究者)の協力を得て、ペルシャ語で書かれたイランの論文作成に関する論文を収集するとともに、フランスの文学教育やバカロレアの論文試験との比較からイランの特質を分析する。
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Causes of Carryover |
イランの政治・経済状態の悪化から、現地調査が出来なかったため。
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Research Products
(4 results)