2017 Fiscal Year Research-status Report
ドイツの教育の個別化に関する実証的研究‐教育の標準化と子どもの多様性の観点から‐
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17K04686
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中山 あおい 大阪教育大学, グローバルセンター, 准教授 (00343260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 啓記 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00298449)
立花 有希 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (60736198)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育の標準化 / 教育の個別化 / コンピテンシー / 子どもの多様性 / 比較教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PISA以降、教育スタンダードや全国学力調査の導入など「教育の標準化」が進む一方で、児童・生徒 の多様化(移民背景や低い社会・経済的背景、特別なニーズのある子ども)が進んでいるドイツにおいて、教育スタンダードに裏打ちされた「コンピテンシー志向」のカリキュラムと、多様性に応じた教育の「個別化」はどのように捉えられ、具体化されているのか、その理論的枠組みや教育政策について、また学校教育実践において検証するものである。平成29年度の調査では、ドイツの教育の「コンピテンシー志向」や「個別化」に関す教育理念や教育実践に関する文献調査及び、子どもの多様性に関する教育理念やインクルーシブに関する文献・資料の収集を行い、それがどのように教育政策に反映しているのか、バーデン・ヴュルテンベルク州の公的教育機関でのインタビュー調査を実施した。 具体的には、ドイツ国際教育研究所(Deutsches Institut fuer Internationale Paedagogische Forschung)において、ドイツにおける教育の「個別化」と子どもの「多様性」に関する文献収集と文献調査を行うとともに、公的機関における教育政策を検証するためにバーデン・ヴュルテンベルク州の学校開発研究所(Das Landesinstitut fuer Schulentwicklung)を訪問し、Dr. Ulrike Philipps氏等へのインタビュー調査を実施した。バーデン・ヴュルテンベルク州においては、学校開発研究所を中心に「コンピテンシー志向」と「個別支援」に焦点をあわせた学習が模索されており、教師教育にも影響を与えていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、教育スタンダードに裏打ちされた「コンピテンシー志向」のカリキュラムと、多様性に応じた教育の「個別化」の関連を明らかにし、その理論的枠組みや教育政策について、また学校教育実践において具体的に検証するものであるが、初年度においては理論的枠組みや教育政策について文献調査を行うととともに、公的機関を訪れインタビュー調査を実施することを目的にしていた。ドイツ国際教育研究所での文献調査及びバーデン・ヴュルテンベルク州の学校開発研究所において教育政策についてのインタビュー調査を行うことで、「コンピテンシー志向」と、多様性に応じた「個別支援」が教育政策の核として重視されていることがわかり、初年度の目的がおおよそ達成されたと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、ドイツの教育の「個別化」に関連する資料・文献を収集整理し、その分析を行うとともに、研究項目と問題点を再検討する。また、教員養成や教師教育において、教育の「個別化」に関わる教育課題がどのように議論され 実践に結びついているのか、教員養成機関の資料や文献を収集整理する。 海外調査では、前年度の結果を踏まえて、理論枠組みを再構成し、調査の設計を必要に応じて修正し、移民を含めた低学力層や特別なニーズのある子どもへの教育実践を調査し、教育の「個別化」を具体的に把握する。まず、(1)バーデン・ヴュルテンベルク州のなかで、移民や特別なニーズのある子どもが多く在籍する教育現場を訪れ授業観察を行い、教育実践や学習方法等における教育の「個別化」の実態を検証する。また、その教育効果について教師にインタビューするとともに、(2)前年に教育行政で聞き取り調査をした内容がどのように学校で具体化しているのか検証する。
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Causes of Carryover |
研究代表者と研究分担者の日程や海外の訪問先機関との日程が合わず、訪問調査の一部を次年度に行うことになったため。
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