2017 Fiscal Year Research-status Report
スーパーグローバルハイスクール等にみる国際バカロレアの普及の可能性
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17K04688
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
渋谷 真樹 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80324953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SGH / 国際バカロレア / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Ⅰ.IB認定校で観察や聞き取り調査を行い、IBの利点と危険性を整理した上で、Ⅱ. スーパーグローバルハイスクールや日本人学校でのグローバル対応教育の実践を調査し、Ⅲ.より多くの生徒が日本に合った形でグローバル社会に対応する能力を習得するためには、IBのどのような側面をいかに導入すべきかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、Ⅰについては、日本のIB校4校を訪問調査した。うち国立1校・私立3校、系列大学有1校・無1校、主な教授言語が英語1校・日本語3校というように、バランスを取りながら調査校を選定した。学校管理職や教員、生徒への聞き取り調査や授業や行事の参観から、IB教育が学習者主体の探求的学びを生み出しているというメリットと、少人数教育でコストが高く、生徒への言語的な負荷がかかりやすいというデメリットを整理した。 Ⅱについては、グローバル化に対応した<新しい能力>を育成する、という点でIBに類似した教育を行っている事例としてSGH指定校を取り上げ、その教育成果を調査した。その結果、従来からの日本の教育実践を応用しつつ、よりより多くの生徒を対象に探求的な学びや発信力の育成を行っていることがわかった。 国内での学会参加に加えて、2018年3月にはシンガポールで行われた国際バカロレア世界大会に参加し、アジアを中心に世界の複数の国のIB校の教員とのネットワークをつくり、情報を交換することができた。 これらの研究成果について、日本子ども社会学会の学会誌に「『文化的に多様な子ども』から『国際的な視野をもつ人間』へ―国際バカロレアにおける文化的多様性―」というタイトルで寄稿し、現在最終校正中である(2018年6月刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、IB校を14校調査予定であったが、現在までにそのすべてを一度以上訪問している。くわえて、SGH校を4校、日本人学校を2校を訪問予定であるが、こちらはまだ訪問できていないので、残りの2年間で訪問予定である。 IBについては、世界大会に参加することで、国内外の多くの学校や教師とのネットワークができ、有効であった。 また、SGH校については、成果報告会や模擬国連の大会に参加することによって情報を収集することができた。複数の学校の教育実践を比較しながら調査できる点で、学校訪問よりもすぐれているので、2年目以降も続けていく。 研究成果のアウトプットに関しては、すでに学会誌に1本掲載予定であり、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
IB校の調査についてはほぼ順調にすすんでいるが、今後は、SGHや海外の日本人学校の訪問調査をより積極的にすすめていく必要がある。特に遠隔地への訪問の場合は、日程調整が難航することがあるので、早めに連絡を取ってすすめていく。 インタビュー調査によって得られたデータについては、すでに部分的に分析をすすめているが、管理職以外の教師のデータについてはまだ分析がすすんでいない。すでに文字おこしは済んでいるので、集中的に読み込み、カテゴリー化などをすすめていく。 2018年度については、すでに学会シンポジウムでの発表1件、学会誌への投稿1件が決まっている。それらの準備を計画的にすすめ、質の高い成果をあげていきたい。
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Research Products
(1 results)