2018 Fiscal Year Research-status Report
スーパーグローバルハイスクール等にみる国際バカロレアの普及の可能性
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17K04688
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
渋谷 真樹 奈良教育大学, 学校教育講座, 教授 (80324953)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SGH / 国際バカロレア / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、国内外で国際バカロレアを中心とした国際教育の実施状況や課題について調査した。海外調査は2度行った。まず、2019年2月21日および22日に香港日本人学校を訪問した。そして、国際バカロレア認定されている国際学級の校長にインタビューするとともに、授業参観をした。また、国際バカロレアの手法に学びつつ独自の国際教育や探求型学習を行っているグローバルクラスを参観するとともに、担当者や教員らにインタビューを行った。 第二の海外調査としては、2019年3月にアメリカ・デンバーを訪問し、国際バカロレア教育を中心に、国際教育の現状を調査した。7日には、国際バカロレア認定校である公立高校を訪問し、コーディネーターや生徒にインタビューするとともに、「知の理論」や言語の授業を参観した。8日には、チャータースクールと公立高校を訪問し、校長や教員にインタビューするとともに、言語や社会科、テーマ学習などを通した国際教育を参観した。 国内調査としては、2018年11月に、スーパーグローバルハイスクールであるお茶の水女子大学附属高等学校の公開授業に参加して、持続可能な社会の探求をテーマとした授業を参観した。2018年11月には、玉川学園で行われた国際バカロレア教育フォーラムにおいて、国際バカロレア校の教員によるワークショップに参加した。その他、国際バカロレアに関する国内推進体制の整備事業シンポジウムや、国際バカロレア教育と教員養成に関する研究会、高校生の留学体験発表会などに参加した。 とりわけ、関西地方における公立の国際バカロレア教育の推進について、関係者への聞き取り調査をすすめた。インタビューは許可を得て録音し、文字起こしして分析した。 研究成果の発表としては、国際理解教育学会に寄稿し、2019年6月刊行予定である。また、2019年4月の比較国際教育学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Ⅰ.国際バカロレア校での調査を踏まえ、国際バカロレアを日本の教育に導入する利点と危険性を整理した上で、Ⅱ. スーパーグローバルハイスクールや海外の日本人学校における、グローバル社会に対応した教育実践を調査し、Ⅲ. より多くの生徒が恩恵を受けるためには、国際バカロレア教育のどのような側面をいかに導入すべきかを明らかにすることを目的としている。 Ⅰについては、国内外の国際バカロレア校の参観や関係者への聞き取り調査、国際バカロレア関連のシンポジウムやワークショップに参加して、順調に情報を収集している。 Ⅱについては、複数のスーパーグローバルハイスクールでの授業参観や、海外の日本人学校の訪問調査を行っている。 Ⅲについては、本年度は特に、公立の高等学校において国際バカロレアを導入することの意義や課題について、教員や教育行政関係者などにインテンシブな聞き取り調査を行った。その結果、2019年度初頭に国際学会でのポスター発表と、国内の学会誌への論文掲載が決まっている。 よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は本研究の最終年度であるので、Ⅰ.これまで収集した調査結果を整理し、不足を補った上で、Ⅱ.より多くの生徒が国際教育の恩恵を受けるためには、国際バカロレア教育のどのような側面をいかに導入すべきかについて、データ分析に基づきつつ考察をすすめ、Ⅲ.学術および社会貢献の場で、調査結果を公表していく。 Ⅰについては、近年、国際バカロレア認定校が急速に増加しており、まだ訪問できていない学校がいくつか存在するので、いそぎ訪問調査をする。また、スーパーグローバルハイスクールの訪問調査が不足しているので、補足する。また、引き続き、国際バカロレアやスーパーグローバルハイスクール関連のシンポジウムやワークショップ、公開授業等に参加していく。 Ⅱについては、収集したデータが蓄積してきたので、枠組みを決めて整理する作業が必要である。これには膨大な手間が必要になるので、アシスタントの依頼も検討する。 Ⅲについては、すでに、2019年4月の国際比較教育学会での発表と、6月の国際理解教育学会への論文掲載が決定している。くわえて、9月の異文化間教育学会での発表や、全国外国人教育研究会での講演において、研究成果を公開していく。
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Causes of Carryover |
例年3月に行われていた国際比較教育学会が、2019年には4月に行われることになったため、当該学会での発表のために要する費用は、2019年度すぐに旅費及び参加費として使用する予定である。
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