2019 Fiscal Year Annual Research Report
Consciousness Formation of the Development of the Next Generation among the Second-Generation Immigrant
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17K04689
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
児島 明 鳥取大学, 地域学部, 教授 (90366956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニューカマー / 第二世代 / 移行過程 / 次世代育成 / 世代間比較 / ライフストーリー・インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、ブラジル系ニューカマー第二世代に対するライフストーリー・インタビュー及びニューカマー集住地域のNPO団体が取り組む第二世代の支援活動における参与観察を継続しながら、第二世代に固有の経験が生成される文脈の多角的な理解を試みると同時に、そのような経験が第二世代における次世代育成意識の形成にどのように影響するかという本研究の中心課題に対する総括的な検討を行った。主な研究成果は以下の三点である。 第一に、2000年初頭にブラジル系ニューカマー第一世代(親世代)に対して実施したインタビューの追跡インタビューを同一家族の第二世代に対して実施し、日本で生活することへの意味づけに対する世代間比較を行った。親世代が「帰国の物語」に依拠して選びとる教育戦略を、第二世代はかれらに固有の文脈において生きることにより、「帰国の物語」によっては納得や克服の困難な「育ちのニーズ」を自覚し、それに向き合っていた。それは同時に、親世代と自らの世代との間に横たわる生きる条件のちがいを明確に認識することでもあった。 第二に、そのようにして認識された「育ちのニーズ」は、第二世代が成人して「育てる者」として自らを定位していく際に、数少ない有効な手がかりとなっていた。というのも、「帰国の物語」を生きる親世代の子育ては、帰国を前提としない第二世代が子育てをする際のモデルにはなりにくいからである。したがって、自らが認識する「育ちのニーズ」にどう適切に対処しうるかを手がかりにしながら、親世代ではなく自らをモデルに位置づけて子育てに取り組もうとしていた。 第三に、教育社会学研究の文脈においては、ニューカマー第二世代が成長の過程で自覚する「育ちのニーズ」とそれをふまえた次世代育成意識の形成は、文化的再生産論を動態的な側面を含む理論としてとらえ、社会変動に関する理解を深めるうえで格好の考察対象であることが確認された。
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Research Products
(2 results)