2019 Fiscal Year Research-status Report
Envisioning the concept of 'academic-ness' in exploring academic profession
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17K04691
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 万知 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (10534901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 慎治 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 主任研究官 (00598534)
丸山 和昭 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (20582886)
杉原 真晃 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (30379028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大学教授職 / 教育専任教員 / アカデミック・アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,多様化する大学教員が共有する大学教員らしさ,あるいはアカデミックネス,というものは存在するのか。存在するとしたら,それはどういった概念なのか,ということを探究することを目的としている。 2019年度は,2018年度に実施したウェブ調査データについて引き続き分析を行い,名古屋高等教育研究において論文として発表をした。また,大学教員の細分化の状況を理解するためオーストラリアにおける教員の役割別分化について調査し,名古屋高等教育研究において論文として発表をした。これらの論文からの結論としては,大学外の人々の認識としては,教育と研究を両立する働き方が大学教員にふさわしいと判断される傾向が強いことが明らかになった。他方,分業を認める立場も一定数確認できたが,従来型の教員像への評価の方が高い。先行して教育専任教員のポストを設置しているオーストラリアの状況を扱った先行研究や調査からは,教育専任教員ポスト(非常勤や契約のTeaching Onlyポストではなく,常勤のポスト)のように新しいタイプの教員が伝統的な役割を担う教員と比較して評価の低い地位にならないよう,様々な制度的工夫がなされていることが明らかとなった。しかし,学術的な専門性に基づき教育研究に関わる大学教授職という専門職のあり方を揺るがすものであるというような批判もある。また,大学教員を役割ごとに階層化するという懸念も示されている。オーストラリアの事例については,教育専任教員ポストの導入時の議論や実際にどういった科目群を担当しているのか,等の実態を把握した上で,比較の軸とし,日本における教育と研究の分業について議論していく必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が機関を異動することになり,学内業務の引き継ぎや院生指導等のため業務時間が大幅に増え,研究時間を確保することが難しくなった。また,当初,年度末にオーストラリアに渡航しアカデミックネスの概念に関する研究会を実施予定であったが,新型コロナウイルス感染予防のため出張を取りやめざるをえなかった。これら2点の理由のため,2019年度の進捗状況が計画からやや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,2019年度に予定していたインタビュー調査については,コロナの状況次第では対面で行うことが難しいと考えている。そのため,Zoom等を用いたオンラインで実施をするか,あるいは手法を見直す必要がある。この点について,6月までに研究グループ内で検討していく。 次に,2018年度には大学教員らしさについて,一般の大卒者を対象としたウェブ調査を実施したが,今年度は,大学教員向けのオンライン調査を実施することを計画している。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していたオーストラリア渡航による研究会の実施が,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,出張をキャンセルすることになった。そのため,繰越額が発生した。2020年度も引き続き海外出張は難しいことが予想されているため,可能であればオンライン研究会を実施することを予定している。一方,繰越した助成金を利用して,大学教員向けのオンライン調査を予定している。調査項目の精査のための研究会は可能な限りオンラインで行い,助成金はオンライン調査フォーマットへの入力,配布先リストの作成,データのクリーニング等を支援してもらうRAへの謝金として利用することを予定している。
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Research Products
(2 results)