2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Study on English Education for Elementary schools in Asian Non-English Speaking Countries
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17K04700
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
鈴木 康郎 高知県立大学, 地域教育研究センター, 准教授 (10344847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校英語 / アジア非英語圏 / タイ / マレーシア / インドネシア / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本で実施されることとなった小学校における「英語の教科化」に対し、先行するアジア非英語圏における小学校英語をめぐる議論や実施体制の変遷を実証的に比較検討することにより、教科化のあり方について、課題と展望を示すことにある。比較対象は、第二言語としての英語を実施するマレーシア、1990年代より外国語としての英語を実施するタイである。従来の先行研究が、当該1カ国における英語教育の推進に焦点を当てた研究であるのに対し、異なる段階にある3カ国の比較分析を通して、教科化の有効性と課題を探ろうとする点に本研究の特色と斬新性がある。実際に両国での小学校英語は、多くの課題に直面し縮減を余儀なくされた経緯があり、教科化をめぐる問題点に着目することで、より実践的な展望を示すことが可能となる。 最終年度にあたる2019年度は、まず各国における小学校英語の実践について、英語教育重点校と一般の国公立校に焦点を当て、実証的なフィールドワークを実施することを計画した。その上で、アジア非英語圏における小学校英語に関して、政策理念、実施体制、学校での実践の各側面について総括的に分析することにより、その有効性と課題に関して具体的かつ実践的な提言を行い、研究成果を広く公表していくことを目指した。 その目的を達成すべく、12月にタイ北部で現地調査を行った。タイ調査では、小学校において英語教育の実施状況に関する聞き取り調査を行った他、地方教育行政機関において小学校英語教育の実施体制に関する調査を実施した。加えて、マレーシアおよびインドネシアにおける小学校現場での現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の関係により、やむをえず中止となった。そのため、補助事業期間の延長申請を行い、2020年度も研究を継続することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に則り、タイにおいて現地調査を行い、おおむね以下の内容について、明らかにすることができた。 (1)小学校英語の支援・推進体制の整備状況について:予算措置、運営組織、人材等、(2)国内外の関係各組織とのパートナーシップの状況について:組織の役割分担、協力実績等、(3)小学校英語に関する当事者の意識:教育方法、カリキュラム、教材の有効性、問題点等。 しかしながら、当初予定していたマレーシアおよびインドネシアについては、上記の調査を実施することができなかった。そのため、2020年度まで補助事業期間を延長し、補足調査を実施したうえで、研究成果を最終的にまとめる予定である。 補足調査では、英語教育を実施する小学校の現場において現地調査を実施する。また、研究成果のとりまとめについては、データベースを整理した上で成果報告資料としてとりまとめ、研究成果の総括を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度においては、補足調査を行ったうえで、研究の最終とりまとめとして、「各国における小学校英語の実践について」実証的にまとめていくことを目的に、研究を推進する方針である。 研究成果のとりまとめとして、小学校英語について、これまで検討してきた、理論的枠組み、支援体制、現場での実践という3つの視点を総括的に分析する作業を行う。分析にあたっては、①各国の置かれた政治・社会的状況、②政策理念、③行政・関連組織による実施体制、④小学校での運営状況等の視点によりデータベースの最終整理を試みる。 加えて、研究成果報告資料の作成と学会等での研究成果発表を行うことにより、研究成果を積極的に還元する。そのために、研究成果報告資料を電子資料としてとりまとめ、web公開する。加えて、日本比較教育学会および国際比較教育学会などで発表し、研究成果の公開に努める。また、蓄積してきたデータベースについては、各国の関連団体・研究者が利用できるよう整備し、研究成果を国際発信するとともに、国際的な研究動向をフィードバックする。 なお、2020年5月の時点で新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、海外での現地調査や学会での研究成果発表を行うことが困難になっている。そのため、研究の推進に当たっては、感染拡大防止の動向を見極めながら、慎重に判断した上で実施することが必要である。
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Causes of Carryover |
2019年度は、複数のフィールドで海外現地調査を実施する予定であったが、実際には1回の現地調査しか実施することができなかった。 すでに補助事業期間の延長を申請済みであり、2020年度は、補足調査を実施するとともに、研究の最終まとめとして、報告資料作成のために予算を使用する計画である。
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