2021 Fiscal Year Research-status Report
現代日本におけるペアレントクラシーに関する追跡・発展的研究
Project/Area Number |
17K04706
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
望月 由起 日本大学, 文理学部, 教授 (50377115)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 教育社会学 / ペアレントクラシー / キャリアデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者による科学研究費補助金若手研究B「受験(準備)の低年齢化に対する教育社会学的研究」及び基盤研究C「日本型早期選抜及びその準備教育にみられるペアレントクラシーに関する実証的研究」の追跡的研究であるとともに、現代の日本社会にみられるペアレントクラシーの実態について、新たな視点(「高校受験」「海外進学」「スポーツ活動・芸術活動」等)からも明らかにすることを目的とする。 従来のペアレントクラシー研究では、「我が子の進路を見据え、日本のトップレベルの学歴(学校歴)の獲得に注力する家庭」に焦点をあててきた。しかし申請者による先行研究や近年の各種調査報告等からは、多様な教育活動に早期より注力する家庭の様相も浮かび上がっている。現代の社会状況を鑑み、日本型ペアレントクラシーの実態を多面的に明らかにすることは、学術的にみても教育政策的にみても意義があり、喫緊の課題である。 本研究の申請時の最終年度にあたる[令和3年度]は、次年度への延長を見据えて、主に以下にあたった。 ・小学校受験を経て国立小学校・中学校に進学した大学生を対象とした「これまでの自身のキャリア形成」に関するインタビュー調査の設計・実施・分析。 ・外国語系学部で学ぶ大学生を対象とした「幼少期からの語学学習調査」、体育系学部で学ぶ大学生やスポーツ推薦により入学した大学生を対象とした「幼少期からのスポーツ活動調査」の実施・分析。 ほか、学校、特に小学校におけるキャリア教育や児童のキャリア形成に影響しうる働きかけに関する情報収集、我が子の「海外進学」「スポーツ活動・芸術活動」に注力する家庭の教育戦略やキャリアデザイン等に関連する先行研究や文献等の収集にも積極的にあたった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関連する先行研究、最新の文献や情報などを収集することは、大方、順調に進んでいる。 ただしコロナウィルス感染症による影響を受け、本研究の申請時に予定していた国外の関連機関での観察調査はもちろんのこと、国内の関連機関での観察調査も、当初の予定通りに実施することが出来ていない状態で(申請時の)最終年度を迎えることとなった。 状況をふまえての可能な限りの代替の調査方法を検討し、実施してきたが(例えば、オンラインによるインタビュー調査やグループディスカッション等)、今後も調査方法の更なる検討や実施を行い、より深い考察を行う必要があると考えている。 本研究の延長申請を行い、次年度(令和4年度)も引き続き実施することが可能となったので、状況に応じて、これまで断念をせざるを得なかった観察調査、少なくとも国内の関連機関での観察調査を積極的に実施し、成果をまとめていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(令和4年度)まで研究期間の延長が認められたので、コロナウィルス感染症による影響の状況に応じて、これまで断念をせざるを得なかった観察調査、少なくとも国内の関連機関での観察調査を積極的に実施し、成果をまとめていきたいと考えている。 具体的には、以下を予定している。 ・高校受験を主に扱う進学塾を訪問し、各地域ならではの保護者の受験に対する向き合いの特徴や受験情報などを収集する。それをもとに、地域差も考慮して、高校受験にみられるペアレントクラシーの実態を捉える。 ・国内のプロサッカーリーグである「Jリーグ」の育成機関を訪問し、観察調査や資料収集などを行う。それをもとに、学校外でのスポーツ教育にみられるペアレントクラシーの実態を捉える。 ・グローバル教育を謳っている小学校を訪問し、コロナ禍での状況を含め、観察調査や資料収集を行う。それをもとに、グローバル教育にみられるペアレントクラシーの実態を捉える。 ・今年度までの成果をまとめ、学会大会等での発表を行う。
|
Causes of Carryover |
以下の理由により、本研究の令和4年度までの1年間の延長申請を行った(同様の理由により、次年度の使用額が生じている)。 ・コロナウィルス感染症の影響により、予定していた国内外の関連機関への訪問による観察調査を実施することが出来なかったため。 ・研究成果の発表を予定していた学会大会がオンラインによる開催となり、旅費を使用する必要がなくなったため。 次年度は、国内の関連機関(各地域の高校受験塾、Jリーグの育成機関、グローバル教育を展開する小学校など)を訪問し、観察調査を積極的に行う予定である。その際の旅費、収集した情報の整理・保存にかかる費用、実施した調査の謝金や分析にかかる費用などに、次年度生じた金額を使用する予定である。日本教育学会、日本教育社会学会、日本キャリア教育学会などの研究大会が対面形式にて開催される場合には、その際に必要な旅費にあてることも計画している。
|
Research Products
(4 results)