2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K04713
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松岡 亮二 早稲田大学, 留学センター, 講師(任期付) (80637299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会階層 / 社会経済的地位 / 教育格差 / 社会関係資本 / 学校格差 / 学習意欲 / 生徒と教師の関係 / 近隣効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
査読付き単著論文が「Asia Pacific Education Review(Social Science Citation Indexに登録されている海外学術誌)」の2017年9月号(Volume 18, Issue 3)に掲載された。本論文は2016年度内にオンライン版が先行公開されたので,概要については若手研究B(26780488)の2016年度実績報告書にて説明済みである。 国内学会の発表1件は,社会関係資本について行った。要点は下記の通り。(1) 高SES生徒(出身家庭の社会経済的地位が高い生徒)は高学力な傾向にあり,高校受験を経て進学校に集まる。結果的に高校の学校ランクと学校SESは高い相関関係にある。(2) 教育達成に資する「つながり(社会関係資本)」を享受しているのは,高ランク校の生徒(多くは高SES家庭出身者)。なお,学校ランクを考慮しても,学校SESは「つながり」高校間格差と関連する。(3) 低ランク校の教師は生徒の学業達成を重視していない。この「軽視」割合はPISA2012が実施された64の国・地域の中で日本が最も高い。15歳時点の受験によって低SES生徒を低ランク校に集め,教師は生徒の学業達成を諦めている構図。(4) 高校中退者は低ランク校に集中。さらに,学校ランクを統制しても,学校SESが低いと中退者を出す傾向にある。困難を抱える低SES生徒を(受験制度の結果として)特定の学校に集めるのであれば,教員など資源を相当手厚くしないと中退者を出し続けることになる。 これら2つの研究以外にも,様々なデータを二次分析し,教育格差のメカニズム(出身階層による教育達成格差がどのように生じるのか)を検討した。該当年度内に,研究会における発表を5回行い,報告書の章を執筆した(合計4章)。これらが論文として完成した後,順次,査読付き学術誌に投稿する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りの進捗状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
利用可能な大規模調査データを分析し,教育格差メカニズムを多様な観点から実証的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
計画していた国内外の学会発表を業務との兼ね合いで実行できなかったため。 研究を進展させるために必要な物品・図書を購入する。また,データの整理などのために研究補助者を雇用する。
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Remarks |
下記は,報告書の一章として執筆した論文の一例。 松岡亮二. (2018).「教育格差の趨勢―出身地域・出身階層と最終学歴の関連―」古田和久編『2015年SSM調査報告書4 教育I』(pp. 187-223) 2015年SSM調査研究会. http://www.l.u-tokyo.ac.jp/2015SSM-PJ/04_11.pdf
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