2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K04713
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松岡 亮二 早稲田大学, 留学センター, 准教授(任期付) (80637299)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育格差 / 社会階層・社会経済的地位 / 地域格差 / 子育て / 縦断調査 / 近隣効果 / 学校間格差 / 学習意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
家庭環境によって子の学力や最終学歴といった成果に差があることを教育格差(あるいは教育不平等)と呼ぶ。たとえば、親が大卒であれば子も大卒となる傾向にあるが、これは自動的に生じているわけではない。本課題の研究目的は、主に日本社会においてどのように世代間の学歴再生産が生じているのか、その具体的なメカニズムを入手可能な量的データを用いた二次分析によって実証的に明らかにすることにあった。また、国際発信を積極的に行い、日本社会だからこそ得られた知見を世界の教育社会学研究の中に位置付けることを意図していた。 2017年度からの研究期間中に、これらの目的は概ね達成された。2019年に知見をまとめた単著(「教育格差:階層・地域・学歴(ちくま新書)」を刊行した。また、海外の学術誌に査読付き論文を2017年に1編、2018年に1編、2019年に2編発表した。 2020年度は新型コロナ禍によって、予定通り研究を実行することはできなかったが、大都市部に位置するX市のパネルデータの分析結果を日本教育社会学会の年次大会にて発表した。また、新型コロナ禍が教育格差を拡大する可能性についての論考を複数発表した。さらには、新型コロナ禍における教育の実態を把握する調査の設計などに従事した。これらによって科学研究費の次の採択課題(基盤研究(C)教育格差に関する総合的実証研究・21K02318)で継続的に研究する準備ができたといえる。今後は新型コロナ禍によって、特に困難を抱えることになった社会経済的に恵まれていない児童生徒や学校に着目した分析を行う予定である。
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