2019 Fiscal Year Research-status Report
Shifting Atomic Policies as Reflected in The United States Park Service's Atomic Tourism
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17K04716
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
東 自由里 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80269795)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マンハッタン計画 / 国立公園 / 原爆製造 / 歴史認識 / 博物館 / ツーリズム / 産業遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は米国国立公園局が管理し、マンハッタン計画に携わった「秘密の都市」と呼ばれていた三つの地域を全て視察することができた。 (1)三つの「秘密の都市」の中でもロスアラモス(ニューメキシコ州)へは再訪する必要があると感じた。米国国立公園局が実施するツアーには外国人は参加できないと現地で説明をうけ、原爆製造のマンハッタン計画に直接かかわった施設を視察することができなかったが、2020年度以降は方針が変更される可能性があるという。また、ロスアラモス国立研究所が運営するブラッドベリー科学博物館よりも、リニューアルを終えたばかりのロスアラモス歴史財団が運営する歴史博物館の方が、訪問者の声を反映する展示の工夫がみられ、近隣の関連施設との連携をとりながら、戦時下のロスアラモス全体の歴史を語っていた。 (2)オークリッジ(テネシー州)では、米国科学エネルギー博物館内のマンハッタン計画に関わる展示を主に視察した。市内には「日米友好の鐘」を設置している公園もあり、民間レベルの交流を調べる機会となった。 (3)米国国立公園局が全米3か所に散在する原子炉関係のツアーのうち、ハンフォード原子炉Bツアーが唯一外国人も参加できるツアーであったが、全米から観光客が訪れていたため、彼らとの意見交換ができて有意義であった。戦後、全米の3分の2の原爆はハンフォードで製造していたため、その後の環境汚染に関する取り組みについて博物館でも展示されており、核兵器と環境汚染の問題は深刻であることが浮き彫りとなった。 (4)ハンフォードに隣接するリッチモンダ市のREACH博物館を視察し、マンハッタン計画と冷戦に関連する常設展示に関わった関係者への聞き取り調査を行った。長崎原爆投下に関する記述は少なく、冷戦中の核兵器に関する展示はこれから拡大していくとの説明が関係者からあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原爆製造のマンハッタン計画に関わった国立公園に指定された①ニューメキシコ州、ロスアラモス、②テネシー州、オークリッジ、③ワシントン州、ハンフォードの三カ所を全て視察することができた。しかし本研究の調査対象である「原子遺産財団」の資料が段階的にニューメキシコ州アルバカーキ市にある米国原子科学歴史博物館に委託されること決まっことが2020年1月に伝えられ、この博物館の関係者への聞き取り調査を実施することができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究の最終年度であるものの、コロナ騒動で海外調査の制限されることが予想されるため、調査計画を変更し、夏期休暇中にニューメキシコ州を再訪することを断念する必要がでてきた。しかし、これまでの調査内容の成果の一部を論文としてまとめて、国際的な学術論文の脱稿をめざす。また、本研究の成果を2021年度の9月カナダのモントリオールで開催される「産業遺産」をテーマとしたIndustrial Heritage Reloadedと題された国際会議での発表(単独、口頭)をめざし、その準備期間にあてたい。
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Causes of Carryover |
PCを購入する予定であったが、2020年度4月に発表されるデスクトップ新型の発売を待つこととした。
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