2019 Fiscal Year Research-status Report
教職課程履修学生の動機づけと職業アイデンティティ発達に関する縦断的研究
Project/Area Number |
17K04717
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 希穂 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (40399043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中瀬 浩一 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (20369309)
大橋 忠司 同志社大学, 免許資格課程センター, 教授 (20755384)
奥野 浩之 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (80552067)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 教職課程 / 動機づけ / 教師効力感 / 教師アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,早期の段階での教職への意思や意欲・動機を把握し,学習動機とともにその推移をとらえ,教職関連講義や実践実習を通した教員としての資質能力の獲得過程との関連を,入学から卒業,就職後までの縦断的調査によるデータに基づいて検討することを目的とする。 2019年度は,2018年度のデータの分析をするとともに,2018年度に実施した調査を継続した。2018年度に収集した2・3・4年生442名データを用いて学年間の差異を検討した結果,教職課程の履修を通して,他者からの勧めのような外的な要因ではなく,自分自身が子どもを好きかどうかというような内的要因により教職課程を履修する傾向が向上し,外発的な動機づけが低下する傾向がみられた。このような傾向は,教師効力感の向上や教師アイデンティティの発達と関連することが示唆された(7th International Self-Determination Theory Conference,Amsterdamにて報告)。 また,教職課程への動機づけ要因が教育実習の経験をとおして教師効力感や教師アイデンティティの発達におよぼす影響を検討するために,2018年度に収集したデータの内93名を対象に教育実習前後の変化について分析した。重回帰分析の結果、教職の社会的価値や子どもそのものに目を向けて教職を志望している学生は,教育実習を通して教師としての効力感やアイデンティティを発達させる傾向があった。一方、内発的に動機づけられて教職課程に取り組んでいたとしても,教育実習の経験が教職という職業選択を躊躇させる可能性があることが示唆された(日本教育心理学会第61回総会にて報告,同志社大学教職課程年報にて発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙への回答については,教職課程を履修している学生を対象としているが,調査への参加は任意としたため,縦断的にデータを収集できている学生が全回答者の一部である。 2020年3月からの教職課程各種説明会にてデータ収集していたが,新型コロナウイルス感染症の影響から,説明会が中止となり,データ収集ができていない。Webアンケートに切り替え,その準備をし,2020年度前期の間に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は最終年度であり,データを収集することによて,教職課程に登録した2年生時から4年生時までのデータがそろい,教職課程履修による発達的要因の検討を,縦断的なデータをも敷いて分析を行いう。これらの結果を活かしたeポートフォリオシステムの構築に取り組む。 新型コロナウイルス感染症の影響により教育実習が実施されない場合は,教育実習後についての検討のためのデータ不足が考えらる。
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Causes of Carryover |
2019年度末に実施予定だった調査が新型コロナウイルスの影響により延期され,それに伴うデータ収集・整理補助のための人件費,延期された調査をWebで実施するための費用などのために次年度使用額が生じた。 次年度使用計画:物品費(Web調査実施用ipad一式:15万円),旅費(日本教育心理学会,日本発達心理学会,日本心理学会,日本グローバル教育学会への参加:30万円),消耗品費(調査票印刷費・筆記用具等:10万円),人件費・謝金(データ入力・資料収集・Web構築補助:10万円),その他(Web構築関連費,教師教育関連の書籍代,通信費等:96,533円)。
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