2017 Fiscal Year Research-status Report
ディープラーニングと図工・美術科教育―子どもの空間把握の問題を中心として―
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17K04734
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 子どもの造形活動 / 空間把握(認知) / 造形空間 / 身体感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目の研究として、子ども達の実践的考察を次の二つの観点から行う。一つは学校教育における図画工作の表現である、造形遊びと絵や立体・工作について。二つ目は学校外で実施した展覧会である。 一つ目は、これまでの実践から、子どもの造形活動と空間の問題を振り返った。子どもは自らの身体感覚を働かせながら,造形空間を感じ取り認識していく。造形遊びではそれが顕著で,場所の空間を確かめながら,より大きな造形空間が把握されている。絵や立体・工作では,主題に応じて造形空間が作品とともに見出されていく。共同製作ではさらに充実した展開を見せた。同じ造形活動によって意識される「空間」であっても,そのプロセスに異なった方向性が見られる(「子どもの造形活動による空間把握の特性―実践的考察を通して―」「弘前大学教育学部研究紀要クロスロード」第22号に掲載)。 二つ目の学校外での実践では、2017年8/4~6にかけて開催した「みんなでつくる形と空間」展の内容について、これまで実施した展覧会と対比的に考察した。課題を明確にし、次の展覧会に向けての方向性を探った。「空間」について定義づけながら、これまで筆者が先に行った3つの展覧会と比較して、本展覧会の成果と課題について考察したが、特に子どもの造形活動と空間の問題に注目して、造形空間と展示空間が論点となる。その切り口からそれぞれの展覧会の特徴について整理すると、本展覧会は遊具を設置した展示空間でありながら、光と影の造形空間を創り出すことができた点が特徴的である。今後は「形をつくる」方向をさらに強め、イメージの問題に関連づける。造形遊びからよりイメージに訴え、仕掛けによる展示空間を準備しながら、その空間を造形空間として創っていくような場が課題となる(「『みんなでつくる形と空間』展の成果と課題―ワークショップ型展覧会の比較考察を通して―」「芸術文化」第22号に掲載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校の子ども達の実践を中心に振り返り、造形活動とそれに伴う空間把握の問題について実践的観点からまとめることができた。また、ワークショップ型展覧会を企画し実践した。その内容を振り返り、これまでの筆者が行った展覧会と比較考察した上で、改めて特徴を明確にし、次の展覧会に向けての方向性と課題を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の実践から、中学校へとさらに研究を展開したい。加えてワークショップ型展覧会については、視点を変えて新たなコンセプトで引き続き継続して行う。 また、ディープラーニングに言及し、理論的考察に関しては、認知心理学の知見が得られるよう進める。
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Causes of Carryover |
予定した人件費・謝金が、次年度の計画に一部変更になったことから、翌年分として請求した助成金と合わせて使用される予定である。
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Research Products
(6 results)