2019 Fiscal Year Research-status Report
ディープラーニングと図工・美術科教育―子どもの空間把握の問題を中心として―
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17K04734
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 空間把握 / 動き / 触覚 / 展示空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、これまでの考察に引き続き予定のワークショップを実施した。研究の総括をする最終年度であったが、題材の変遷の過程で、新たに「触覚」と「動き」という点に注目することになる。「動き」を取り入れた造形に子供たちがどのように取り組むかを検討した。その考察は、「図画工作科における『動き』に関する教材開発―『触覚』と『揺れ』に注目して―」の論考にまとめられる。生き物の立体物に「動き」を加えた次の工作の教材を開発する。①立体物の一部が動く形、②重り、③磁石、④ゴムとヒモの組合せ、による4種の教材で、その有効性を検討した。また「動き」に関して理科と図画工作を比較して、教科性の違いが明らかになるとともに、図画工作における造形的特徴としての「動き」が、学習指導要領の高学年の[共通事項]に位置付けられている妥当性が検証された。 また、ワークショップ型展覧会において、今回はこれまでの展示とは大きな違いがあり、作品の特長を生かした展示空間が設定された。そこでは子供たちの作品に対する接し方についても考察を深めることができた。年少の子供たちでも、展示の工夫によって、展示作品との間に距離感が生まれ、展示物を作品として鑑賞する視点が見い出される。その考察は、「『触って見る動く生き物たち』展の成果と課題―展示空間と材料の考察を中心に―」にまとめられる。材料については従来の紙と異なる自然木も試されたが、子供たちの慣れていない材料は、彼らが自主的に取り上げることがなく、親しみのない材料に対する姿勢が顕著に表れた。こうした自然木などの材料に関しては、学校の授業でも改めて丁寧に扱い、材料の見方・考え方を造形思考と同様に育む必要性のあることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の過程で、新たに「触覚」と「動き」の問題に言及する必要性が生まれ、その観点からの展覧会を試みた。また、展示空間と造形空間、製作スペースの相互の関わりからは、今回作品を中心とした展示空間を試みたことになり、予定の内容とは異なった考察が加わった。
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Strategy for Future Research Activity |
一年延長して総合的な視点からさらにワークショップ型展覧会を展開する。そしてこれまでの実践結果を踏まえながら、今後、ディープラーニングとの比較において、総合的・体系的に児童・生徒における空間把握の理論化に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の経緯からさらに1年延長してもう一回の展覧会開催を考えており、そのための費用として使用される予定である。
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Research Products
(5 results)