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2017 Fiscal Year Research-status Report

感性化の方法としてのフィードバック鑑賞と鑑賞体験モデル(模式図)の確立

Research Project

Project/Area Number 17K04736
Research InstitutionMiyagi University of Education

Principal Investigator

立原 慶一  宮城教育大学, 教育学部, 名誉教授 (10136369)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsフィードバック鑑賞法 / 主題感受力 / 情趣転換加工 / 価値転換加工 / 模造作品 / 鑑賞体験モデル / コンピュータ画像加工 / 初級方法論
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度における研究実績の概要は1.フィードバック鑑賞法で「主題を的確に感受」する、初級方法論の実践的検証―主題感受力の育成(1)情趣(趣きや味わい)の正負価値逆加工による、模造作品の活用。本絵が趣旨とする価値感情と正反対の印象を模造作品に与えるべく、たとえば次のように
画像を修正する。第一に登場人物を減らす。第二に華やかさを演出するモチーフを削除する。第三に情景や画面全体の色調を暗めにする。表現の内容面と形式面において、それから感受される情趣を負の方向に転換するべく、画像を加工する。修正作品の造形的特徴から「気の滅入るような」「沈み込むような感じ」を感受し、改めて本絵にフィードバック鑑賞することによって「喜びに満ちた感じ」「優雅な感じ」が、際立った形で主題として的確に把握された。
(2)情趣転換加工による、模造作品を活用した主題感受。当該作品をコンピュータ画像加工する。たとえば本絵の主題である「もの悲しい感じ」を
消去し、アニメ調に変形された「派手で安っぽい感じ」を見つめ、その後、本絵にフィードバックすることによって、それに特有な情趣「悲しみに沈んだ感じ」と、反転効果的に出会わせるのである。かくて当該鑑賞法が的確な主題感受を支援する、効果が検証される。できるだけ多くの題材事例を考案し、実践し評価する。そうすることで初級方法論の独自性を際立たせる根拠となる、鑑賞体験モデル(模式図)が策定された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

附属中学校の協力を得て、教育実践は順調に進んでいる。それに伴って実践研究も予想以上に進展している。

Strategy for Future Research Activity

1.フィードバック鑑賞法で「何故そう感じるのかの理由を探り、表し方の違いを洞察」する、中級方法論の実践的検証―洞察力の育成
(1)同一題材作品でも、異なる表現方法の洞察。鑑賞題材『最後の審判』(一般的な地獄思想がテーマ)にあって本絵ミケランジェロと参考ジョットでは、時代精神である「近世的特質」の表出情況の有無が実感できる。人体造形法ではミケランジェロ作品の「がっしりとした」とジョット作品の「こわばった」、空間構成法では「遠近法的に自然な」と「不可解な」、構図法では「燃え立つような」と「堅苦しい」、彩色法では「清澄な青」と「厳粛な青」など表し方の違いを見定める。表現方法によって主題をはじめ、全体的印象や感じ方が異なってくる。この道筋が参考作品鑑賞を前提とした、フィードバック鑑賞法によって突き止められる。その洞察が鑑賞能力の充実につながるであろう。
(2)類似題材作品でも、異なる表現方法の洞察
本絵ベラスケス作『ラス・メニーナス』と参考ゴヤ作『カルロス4世の家族』は、同じく宮廷生活が題材として描かれている。前者には「貴族の生活感情」と「作者の自我像」の二つが、絵の主題として表現されている。それに対して後者には、不思議と人物の表情に生気や活気がない。本方法論では、そのように感じさせる理由をデータ駆動的な形で、表現方法に求めるのである。
前者にあって複数の人物が、画面上にダイナミックに配置されている(構図法)。それに対して後者では、人物が横一列に並べられているだけで(構図法)、いかにも退屈である。参考作品の鑑賞を踏まえて、改めて本絵へフィードバックさせることによって、この表現法的根拠のボトムアップ的な探求に立ち向かわせる。できるだけ多くの題材事例を考案し、実践することで鑑賞能力の充実を図る。いわば中級方法論の独自性を際立たせる根拠となる、鑑賞体験モデル(模式図)が策定されよう。

  • Research Products

    (5 results)

All 2018 2017

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 「より良い鑑賞題材設定のあり方とは何か」の根拠を求めて2018

    • Author(s)
      立原慶一
    • Journal Title

      美術教育学研究

      Volume: 50巻 Pages: 225-232

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 鑑賞能力と主題感受の関わりを求めて2018

    • Author(s)
      立原慶一
    • Journal Title

      美術教育学

      Volume: 39号 Pages: 209-222

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 比較鑑賞法における美的感受、解釈、価値判断2017

    • Author(s)
      立原慶一
    • Journal Title

      芸術文化

      Volume: 22号 Pages: 97-106

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 比較鑑賞法における美的感受、解釈、価値判断2018

    • Author(s)
      立原慶一
    • Organizer
      美術科教育学会
  • [Presentation] 「より良い鑑賞題材設定のあり方とは何か」の根拠を求めて2017

    • Author(s)
      立原慶一
    • Organizer
      大学美術教育学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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