2019 Fiscal Year Annual Research Report
Feedback-Focused Art Appreciation as a Method of Sensitizing and the Establishment of a Model (Schema) for the Art Viewing Experience
Project/Area Number |
17K04736
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
立原 慶一 宮城教育大学, その他部局等, 名誉教授 (10136369)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 上級方法論 / 価値判断 / 美意識の是認・賞賛 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィードバック鑑賞法で「多様な美意識を是認、賞賛」する、上級方法論の実践的検証―価値判断力の育成 1.模写関係作品で異なる、美意識の是認、賞賛たとえば参考である油絵技法による模写作品(ゴッホ『日本趣味 雨の大橋』)を前提として、本絵浮世絵(歌川広重『大はしあたけの夕立』)へフィードバック鑑賞を行うことで、日欧における感性的質の違い(虚構と現実のイメージ)が、生徒によって増幅的に実感された。これら絵画表現法は、元をただせば日欧文化の美意識(美的なものを感じる心)の違いに起因する。鑑賞体験において、多様な美意識や趣向性を是認・賞賛する。そうした価値判断を行ってこそ、鑑賞体験が拡充されたのである。 2.類似題材作品でも日欧で異なる、美意識の是認・賞賛たとえば本絵として葛飾北斎『神奈川沖浪裏』と、参考としてギュスターヴ・クールベ『波』を鑑賞させる。一方で絵にユーモア感覚と虚構的な自然美感を、他方で、真面目で現実的な自然美感を求めるのは、日欧の造形表現における美意識や趣向性の違いに起因する。参考作品の鑑賞を前提として本絵へフィードバックすることで、人は価値感情的に揺さぶりをかけられ、日欧の美意識を是認・賞賛できる。こうした価値判断を行ってこそ、鑑賞体験が拡充されうるものと思われる。できるだけ多くの題材事例を考案し実践し評価することで、上級方法論の独自性を際立たせる根拠となる、鑑賞体験モデル(模式図)が策定された。最終年度であることも鑑み、上記三方法論を効果的に運用する枠組みを案出した。 3.本研究におけるフィードバック鑑賞法とは、参考作品の鑑賞を踏まえて、改めて本絵へ戻り再び鑑賞することの意味であった。しかしその概念を拡大し、教師による作品解説後に再び鑑賞が行われる、スタイルの鑑賞法の謂いでもあるとした。
|